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2017/10
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“100%減資”への代替案(私案)
昨日の本欄において、JALの“100%減資”案について触れ、結局は反対する様な記載になってしまった。では、何か良い考えがあるのかというと、資本市場的視点からは、以下の様な方法もあるのではないかということを、示しておきたい。
 先ず、JALの現在の株主に関する論点を整理しておくと、第一に株主責任の問題がある。銀行団は債権を相当部分放棄するし、退職者も含めて従業員の年金も大幅に減額する。加えて、大幅な債務超過なので、株主責任として、既存株主は退場すべきだという考えで、これは資本市場の論理として尤もなことだ。
 次に、債務超過に陥ったJALを再生する為には、企業として存続させる為に新しい資本が必要で、再生支援を行う支援者(支援機構や政策投資銀行、メガバンク等)が、新株式を払い込むが、再建計画が遅滞なく進むためには、少数の新株主=再生支援者による株主総会運営が好ましい。つまり、40万もの株主を残しておくと、再建計画の遂行における株主総会運営に支障をきかす可能性がでてくる。
 結局100%減資案で、既存株主に退場していただくのが正解ではないかというと、そうとも言い切れない。それは、JALは、主に乗客という個人を相手にしたビジネスモデルで、これは再建計画においても変わらない。その視点で見た場合、40万の個人株主(単元株主数)は、顧客資産にも見え、再生途上で、彼らを切り離すことは、“もったいなく”思える。
 では、株主責任を取り、再建計画遂行にも支障が生じず、40万人の個人株主層を再生にも活用できるような案(資本政策)はあるのかというと、以下の様な方法もあるのではないだろうか。

①無議決権株式を発行出来るように定款を変更
(既存株主の株式を、全て無議決権株にする為に)
②発行済株式を全て無議決権株式に変更する旨の決議と同時に、1単元株に1円の資本が残るように減資を実行。
(実質は債務超過だが、現在ある資本金2510億円の内、単元株数27億株分の27億円を残して減資。99%減資案に近いが、計算上は93%減資案になる。)
③支援者への新株式(通常の議決権を有する普通株)を割当てる。
(既存株主の株主責任を明確にする為、新たに払い込まれた資本金での持分について、既存株主を劣後させる必要がある。その為、既存株主の無議決権株は、残余財産分配権を新たに払い込まれる普通株より劣後させる設計が必要。)
④既存株主を顧客資源として活用する為に、40万人の無議決権株主に対して、再建計画に見合った何らかの株主優待策を継続する。
⑤この無議決権株は、再建計画にそったスキームとする為に、再建計画の年限の沿った期限付の設計とすることが望ましい。
(無議決権スキームは、再生スキームとして、企業再生後は、その機能が普通株に吸収されるべきと考える。又、JAL再生後は、普通株が再上場されるだろうが、無議決権株の株主(つまる現在の既存株主)は、再上場時に普通株式を優先取得できる権利を期限付き(例えば5年以内)で付与することも検討すべきだろう。このイメージは、40万人の既存株主が、JAL再生後に再び株主となるかどうかの選択権を残しておくという意味である。)
⑥株主責任を、日本国民に対して一層明確にする為に、取引所は上場廃止とする。但し、40万株主が、上記スキームの様に無議決権株主になったとしても、その流通の場を確保することは重要となる。その為に、既存JAL株式の流通市場として、フェニックス市場の機能を整備しなおして、これを活用する。
(つまり、上場廃止にはなるが、既存株主がJAL再生を待つ間の流通市場は確保する。)

以上の様なことは、資本市場が今まで対応してきた再生スキームではない。つまり、業界関係者も対応したことがなく、実務的な反論や法的確認事項もあるだろうが、仕組みそのものは、既存の制度やスキームを組み合わせたものなので、実現することは可能と考える。
国民的再生案件には、資本市場の新しい取組み(といっても使うのは、今ある道具なのだが)も、試されている様に思う、業界関係者としての試案である。
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