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2017/08
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MBOの進め方、そして上場子会社の場合は・・・
 先日、MBOが増加しているということをお伝えしたが、大きなプレミアムを既存株主に支払うMBOは、一般の投資家にとって、そのプレミアムの大きさは注目の的だろうが、既存株主にとってはTOBにしろ、その後のスクイーズ・アウトにしろ、保有株式の売却を強いられるのであるから、投資終了の宣告にもなっている。
このMBOは、経営者が何らかの形で、実質的な買い手になる訳であるから、売り手である株主とは利益相反になる構造であり、企業にとって、MBOはその進め方が非常に難しい。(MBOの支援を行う投資銀行にとっても同様に難しい。)
例えば、プレミアムは何%有れば良いとか、妥当な株価を算定する方式など、形式的な基準は無いので、難しいといったが、では、実質基準はあるのかというと、経済産業省の企業価値研究会によるMBOに関する報告書(2007年8月)では、以下の2点のMBO原則を上げている。

○第一原則:企業価値の向上=望ましいMBOであるかどうかは、企業価値を向上させるか否かを基準に判断されるべき
○第二原則:公正な手続きを通じた株主利益への配慮=MBOは取締役と株主との間の取引であるため、株主にとって公正な手続きを通じて行われ、株主か受け取るべき利益が損なわれることがないように配慮されるべき
 第一原則の企業価値の向上については、MBO後の事業再構築プランが取締役会等(監査役・第三者委員会を含む)で検討されるだろうか、第二原則の公正な手続きは、MBOにも多様な形があるだろうから、一律に判断することは難しい。ただし、企業価値研究会のMBO報告書では、以下の様な実務上の工夫を示している。
<意思決定過程における恣意性の排除の為に>
・社外役員又は独立した第三者委員会で、MBOの是非及び条件に対して諮問し、その判断を尊重する
・取締役及び監査役全員の承認(特別の利害関係を有する取締役を除く)
・意思決定方法に関し、弁護士・アドバイザー等による独立したアドバイスを取得すること、及びその名称を明らかにすること
・MBOにおいて提示される価格に関し、対象会社において、独立した第三者評価機関から算定書等を取得すること
<価格の適正性を担保する客観的状況の確保の為に>
・MBOに際してのTOB期間を比較的長期間設定すること
・対抗者が実際に出現した場合に、その対抗者と当該会社との接触等を過度に制限するような合意等を、MBOの実施に際して行わないこと
<株主意思確認を尊重する為に>
・MBOに際してのTOB買付株数の下限を、高い水準に設定すること

 以上のことは、多種多様なMBO事案においてはケース・バイ・ケースで、実質的に検討されるべきだと思うが、このような公正な手続きを守る対応は、上場会社の親会社が行う完全子会社の為のTOBについても、同様の措置がとられるべきだろう。
それは、上場子会社の経営を実質的に親会社が支配しているという現実を見れば、親会社がTOBで買い手になることは、少数株主にとってMBOと同様の利益相反構造と見做される。よって、少数株主にとっての公正な手続きは維持されなければならない。
 金融危機後の世界景気回復を睨んだ事業再編や、この3月から早期適用が可能となるIFRS(国際財務報告基準)を思えば、益々企業グループにおける上場子会社の選択と集中は進むと予想されるが、公正な手続きの確保は、上場親会社の日本の資本市場に対する責任になる。それが、大量のファイナンスで負荷をおった株主への配慮にもなると考える。

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