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2017/10
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空売り規制強化?=空売り報告制度の整備
この業界に入り顧客の注文を取次ぎ始めた時、先輩からは空売りはダメだと教えられた。しかし、歴代の有名な相場師は、空売りで成功している者が多いことも知っていた。その時は、日本も右肩上がりの成長期だったので、短期的値動きに囚われない長期投資を薦めよという後輩への忠告だったのだろう。随分と昔の事になった。

 この“空売り”について、昨日金融庁発表された“金融・資本市場に係る制度整備について”では、空売り報告制度を整備するという。そもそも、空売りとは何かというと、金融商品取引法では、“有価証券を有することなく、又は借入れて、売付けを行うこと”と定義されている。そして、同法により空売りは、以下の様に規制されている。
【価格規制】原則、取引所が直近に公表した価格以下の価格での、空売りの禁止
(個人等が利用する制度信用取引での信用売りは除かれる)
【明示・確認義務】売付けが、空売りであるか否かの区分の明示・確認を、証券会社等に義務付け
この金商法での空売り規制に対して、リーマン・ショック後の金融危機対応を受けて、一昨年の秋から時限的措置として、
・売付けの際に、株の手当てがなされていない空売り(Naked Short Selling)の禁止
・発行済株式総数の原則0.25%以上の空売りポジションの報告(証券会社等を通して)・公表義務(取引所での)
が加わって、3ヵ月毎にその措置を延長してきた。(現在は、今月末まで)
この経過措置部分は、欧米金融当局による空売り規制強化と連携したものであった。
 今回金融庁より示された、“空売り報告制度の整備”は、当面、マーケットの状況を中止しながら、この時限的措置を続けるが、空売りポジション報告・公表制度の恒久化については、
・【価格規制】のあり方について
・店頭取引を含むデリバティブ取引のポジションを取引対象とすることについて
・公表内容について
を含めて、総合的に検討するという。

 この事は、昨年12月17日に公表された骨子案に対して、パブリックコメントに付すとともに、意見交換会での関係各位の意見徴収を踏まえて決定されている。この空売り規制及び報告制度への、関係者の意見は、下記の様になっている。(意見交換会議事録より)
≪証券業協会≫
現在の日本の空売り規制は、欧米に比べて厳しいもの。更に空売りポジション報告の恒久化がされると、流動性が低下することも懸念されるので、【価格規制】が見直されることなく、報告制度が恒久化されることには反対。
≪取引所≫
もし空売り報告規制を恒久化するのであれば、現在の【価格規制】を見直して欲しい。それが、世界との共通のルールで、東京市場を劣後させないことに繋がる。
≪神田教授≫
 空売り規制は非常に難問だが、総合的に検討。

 そもそも、何の為の空売り規制だったのか考えてみる。
株式がまったく無いのに売り注文で、株価を下落させることはダメ。しかし、株式を借りて売却するのも、【価格規制】というルールを守らなければならいという現行のルール。株式が無いのに、何故売れるんだというと、株式を借りるつもりで、取り合えず相場の変動に合わせて売却しておくが、直ぐに株式が借りられない場合は、フェイルといって、株式の決済だけを延長していく。売却した株式が、借りることが出来れば、決済は終了するが、これらの取引はネーキッド・ショート・セリングといわれて、ヘッジファンドなどに対して投資銀行が取引サービスの一環として提供していた。この方法は、一昨年の秋から主要各国で禁止されており、日本も同様の措置を続けている。一方、借りて売る場合も、空売り規制の【価格規制】により注文が制限されるが、これらは大口注文がアルゴリズム取引で発注される現状の売買環境には合わなくなってきている。関係者の意見は、この【価格規制】を、撤廃若しくは緩和して、空売り報告制度を整備すべきという意見だ。

では、報告制度は何を目的にしているのだろうか。空売りするヘッジファンドや、それを取次ぐ大手証券への嫌がらせではなく、空売りという仮需要情報を、市場の取引参加者間で共有するということであれば、せめて証券会社ごと提出される空売り報告書だけではなく、銘柄毎に集計して公表すべきではないだろうか。
これを代替する方法もある。仮需要である以上、最終的には株式を借りて決済にいたらなければならないが、今回の制度整備にある貸株取引清算機関が設立されれば、毎日、銘柄毎に貸株状況は把握することが出来、公表も可能になる。この銘柄毎の貸株情報(仮需要情報として)が、個人・外人・機関投資家を含めて取引参加者間で共有されれば、市場はもっと厚みのあるものなると、筆者は考える。
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ジャンル : ビジネス

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