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2017/11
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あえて考える清算機関議論
 一見、非常にマニアックなテーマに思える。だいたい清算機関とは、何かというところから始めなければならない。金融商品の取引は、売買を約定する取引があって、その取引を決済すれば終わる。原則その通りだが、では日本の金融・資本市場に当てはめてみた場合、取引所があって、金融商品を決済する証券保管振替機構(ホフリ)か日銀(国債)があれば、金融商品の取引は終了するかというと、当然の事だが金融商品の売買に伴って、お金が動く。清算機関の機能は、この金融商品の取引内容を照合し、決済機構での金融商品の移動を指示し、お金を日銀・金融機関内で振替える作業を行う。勿論、取引者同士が相対で取引に伴う決済を行うことは可能であるが、清算機関利用は、取引に伴う決済リスクを低減させ、かつ取引をネッテディングすることから決済作業の効率化にも繋がる。少し大雑把な例えで恐縮だが、麻雀で一場毎の点数計算や点棒のやり取りをしないで、ハンチャン終了した時点で、場代分まで差し引いて点数計算を行うのを、清算機関と思えばイメージが近い。一場毎、点数計算をして、相手とその点棒のやり取りをするのは、楽しい行為かも知れないが、纏めて自動的に対応してくれる清算システムがあれば、麻雀の参加者は、この点棒計算の煩わしさ解放される。まして4人以上で行う金融商品取引においては、取引参加者は清算機関があれば誰しも便利と考える。
しかし、問題は場代=コストにある。コストは、初期費用と維持費用そして清算基金に分けられるが、これらは取引参加者が応分に分担したり、取引に合わせて負担する。取引参加者は、取引の増加は望むが、コスト負担は嫌うのが当然であり、通常は取引の急増により、決済現場での不都合がなければ、なかなか共同で清算機関を作ろうという発想にはならない。特に清算基金の拠出は、主要な取引者にとっても負担感の大きなものになる。
但し、清算機関にとっては、清算基金は清算システムに劣らす重要なものになっている。つまり、金融危機の様な事態になり、大手の取引者が破綻して金融商品の決済が不能となった場合、損失が発生する。その損失をカバーするのは、通常
①破綻した取引者からの担保
②清算組織内の、何らかの清算基金
③取引参加者間での分担
となるが、原則②までで終了しなければ、清算取引そのものに問題を生じる。つまり、清算基金の大きさが、清算取引=取引そのものの規模に影響を及ぼす可能性が大きい。

 ここで今何故清算機関を見直し、CDSや金利スワップなどの清算機関を日本にも作ろうという事になっているか考えてみると、発火点はCDS取引である。欧米の金融機関に於いて、頻繁に取引されていたCDS取引であるが、通常の金融商品と異なり、デリバティブ取引なので、ISDAベースの契約書のやり取りが基本になる。そして、その契約書に沿った利払いなどのオペレーションが履行されなければならない。その為の契約書をストックしておく記録機関は、米国の清算組織のものを皆で使っていたが、CDSの清算機関は無かったので、金融危機時に、CDS取引の実態を容易に把握できなかった。その為、欧米金融当局はCDS清算機関創設への圧力を金融業界に掛け、そして欧米にはCDS清算機関が設立された。日本にも、CDS清算機関は必要とされている。

 CDSは、元々は社債やローンのクレジット・リスク回避の為の取引なので、CDS清算機関設立は社債やローンのクレジットマーケット全体にも影響を及ぼす。日本にも清算機関はあった方が良いのが当然だが、問題は日本においては、CDSの取引量そのものが少ないと言われ、では取引量の多い金利スワップも含めて、店頭デリバティブとして清算機関を作ったらどうかというのが現状だ。
 CDSも金利スワップも、大手金融機関同士の取引が中心になり、特に外資系金融機関が主要な取引者になる。外資系金融機関の本音とすれば、欧米に既にCDSや金利スワップの清算組織があるのだから、そっちを使って欲しいということだろうが、取引所やホフリとともに、清算機関はその国の金融・資本市場の重要なインフラである。外資系には、清算機関へのアクセスコストは払ってもらうとして、日本の大手金融機関による清算機関設立の為の清算基金拠出など、主だったコストを負担してもらう金融行政の方向性があっても良いのではないだろうか。
それが、ここ一年資本市場から大量に資本調達した大手金融機関の、日本の資本市場に対する配当になると考える。

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