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2017/06
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社債の情報整備について
昨年の社債発行(公募債)が11.4兆円と11年振りの高水準に達したことはお伝えしたが、日本の社債市場は、流通市場機能が整備されていると言い難い、個人や外人の保有比率も欧米に比べかなり低い、低格付け債の発行がなされない、など問題が多く、資本市場の機能としては不十分である。このことの自覚は、長年業界にあり、現在も日本証券業協会において、社債市場活性化の為のワーキングが行われている。
 投資ニーズか、調達ニーズか、鶏と卵の議論もあるようだが、現実に海外ハイイールド債への投資ニーズがあったり、低格付け企業の発行ニーズがあるのに、どうも需要と供給がマッチするしない。やはり、仕組みに問題があるよう思う。

専門的な議論は横に置いておいて、社債に関する情報という面からの問題点を考えてみたいが、社債の情報は、概ね以下の3つに分けられる。
①発行企業に関する情報
②発行者の信用力(クレジット)に関する情報
③価格情報

①の発行企業情報は、金融商品取引法や開示制度や取引所の適時開示があるので、あまり問題はない。

②に関しては、格付情報も含まれるが、本年4月から始まる格付機関規制=信用格付業者制度によって、格付情報の投資家への伝達は、今以上に良くなる。ただし、この信用力に関する情報の中で、機関投資家などは、発行者の借入金の財務上の特約(コベナンツ)が公表されていないことを、問題視する向きもある。この特約は、利益や純資産が一定水準を下回った場合、借入条件が変更される可能性もあり、社債が劣後する状況も起こり得る。ただ、発行者や金融機関は概ね借入金のコベナンツ開示を嫌う。このことが社債投資にどの程度影響するか、議論のあるところだが、発行者は社債IRなどでフォローすることが好ましいのではないだろうか。

③の価格情報の共有問題は、流通市場整備において最も問題になっている。つまり、流通価格情報はあると言えばあるが、実際の売買や新規の投資には役立たないと言われている。証券業協会で提示する“公社債店頭売買参考統計値”のことだが、投資に役立たないと言われる理由は、売買の実勢値と異なっているからだ。
ただし、社債の流通市場が未整備な現状にあって、実際の売買価格が分からなければ、機関投資家などが時価評価をする際の価格情報として使っているということでは、役立っているようだ。実勢と異なっていると思われる価格を、時価評価に使っていいのかという問題はあるが、評価する立場のミドルオフイスの手間とコストを削減する為に有効だった。そもそも、実勢に近い価格情報があれば良いのだが、それぞれの立場で問題あると意識しながらも、機関投資家のコスト削減目的では“公社債店頭売買参考統計値”は利用価値があった。

投資には役立たないが、投資家の評価には役立っていたという一見複雑な話になってしまったが、この“公社債店頭売買参考統計値”には、取り纏める証券業協会も、情報を提供する証券会社も相当の手間とコストが掛かっているようだ。社債に関していうと、報告義務のある証券会社20社中5社以上の報告を平均して公表するが、午後3時現在の気配値を午後4時半まで作業しなければならない。この対象となる社債は、一般社債2163銘柄、個人向け社債55銘柄(昨年12月10日時点)ある。
なんとも矛盾した話だとおもうが、これだけ手間をかけているのに、使えない理由は、やはりこの報告制度の仕組みが悪いと言わざる得ない。

 米国にはTRACE制度、欧州にもICMA制度といった、社債価格情報をリアルで投資家に伝えるシステムがあるが、日本にも必要なのだろう。売買を仲介する証券業者からの、報告制度として定着させる為には法制度による整備が必要かも知れないが、現在、株式等保管振替機構(ほふり)で行われている社債のDVP決済(社債が受渡代金と同時に決済される)を活用すれば、少ない証券会社の負担で、流通価格情報を集約することが出来るのではないだろうか。

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