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2017/07
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再び、業界のインサイダー取引について
 有利な情報は誰しも欲する。時には、その情報がビジネスの起点ともなるので、仕事をする人にとって有利な情報の入手には労力を尽くす。しかし、それがインサイダー情報で、かつ自らの有価証券売買(株だけではなく、最近は債券やデリバティブも含めて)を実行しようとすると、インサイダー取引という犯罪になる。
こんなことは、業界のプロと言われる人々なら十分承知しているはずだと思われるが、インサイダー情報に最も近い分、インサイダー取引のリスクは最も大きい。業界のインサイダー取引の問題は、拙稿2月8日分でも取り上げたが、証券会社としての問題を、少し捕捉してみたい。

 本日10日の日経記事に、BNPバリバに対する東証などの取引所・日本証券業協会の過怠金1.8億円の記事が掲載されていたが、日本証券業協会が不当利得の還元を求めたことを受けて、1月18日には、BNPパリバは、12億円を「証券市場基盤整備基金」などへの寄付を前提に「社会還元措置」に投じると発表した。この原因は、アーバンコーポレイションの増資引き受け問題など一連のインサイダー取引及び相場操縦行為に対するものだ。特にアーバン事件は、BNPパリバが自らインサーダー情報を作り、その情報を操作し、その情報に基づくインサイダー取引を行ったと判断されても否定しがたい。(事件の詳細は、拙稿“再考:アーバンコーポレイション事件 (10月14日)”をご参照ください)事件の内容は、資本市場関係者としておおよそ信じられない行為だが、第三者割当のファイナンス・それに絡んだデリバティブ(契約形式)・そして情報操作とインサイダー取引と大仕掛けで、とても個人の犯罪行為とは思えないのが業界での感想だろう。欧州の名門投資銀行であるBNPパリバの組織的関与がないことを信じたいが、そのことは日本の資本市場における自らの行動で示していくことかも知れない。

 一方、証券会社等を監視する立場の証券取引等監視委員会(SESC)は、以下の3つを最近の重点課題として上げている。
【不公正ファイナンス】
証券会社が引受業務等を通じて関与するケースは多くはないが、アレンジャーとして業界関係者が関与するケースが少なくなく、ファイナンスに係るインサイダー取引や相場操縦行為で、特定の証券会社が利用されることもあるという。ちなみに、SESCから課徴金納付勧告や告発を受けたインサイダー事件の件数は、平成19年事務年度(7月から翌年6月まで)23件、平成20年事務年度25件、そして直近の平成21年7月から12月までは、半年間で24件と倍のペースになっている。
【業務の多様化に伴う証券検査の実効性の向上】
投資銀行や一部の証券会社の業務は、従来のブローキング業務から自己資本を使い収益を求める業務に変化しているので、信用リスク・市場リスク・流動性リスク等財務の健全性に関するリスクが高くなってきている。一方、私募ファンドなどの集団投資スキームの業者の一部に、詐欺に近いような行為も見られる。
【新たな商品、取引、市場等に関する強化】
CDSなどの店頭デリバティブ取引、DMA(Direct Market Access=ファンドなどの機関投資家が、証券会社のシステムを通じて、直接取引所システムに発注できる)やアルゴリズム取引などの取引手法、ダーク・プール(証券会社単独若しくは複数で行う顧客注文の付け合わせシステム等)等新たな市場におけるインサイダー取引などの不正取引の監視。その為のITシステムの高度化対応。
 
 証券会社内においても、M&Aやファイナンスに係るインサイダー情報は、法人関連情報として管理されているが、適時に情報の入力と管理がされているか、情報入手後の情報にタッチした者の記録はされているか、利益相反行為のチェックは適時実行されているかなど、今後益々投資銀行としてのインサイダー情報管理(法人顧客の未公開情報)をシステム的に強化して行うことが求められている。コストが掛かるとしても、それが日本の投資銀行の質を高めていくことに繋がると信じたい。

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