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2017/06
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問題第三者割当への業界の対応
 公募増資であっても第三者割当であっても、企業が資本を調達するファイナンス機能は、資本市場にとって最も重要な機能である。しかし、最近はMBOや買収防衛策とともに、第三者割当も、企業の問題ある行動が散見され、コーポレート・ガバナンス強化の対象となる企業行動として取り上げられることが多い。
勿論、第三者割当方式によるファイナンスが、良くないというのではない。企業再生や業務提携などの資本調達目的で、株式や新株予約権付社債などの公募方式が取れない企業にとっては、重要なファイナンス手法であることにかわりはない。問題のある第三者割当とは、主に以下のことを指す。

① 有利発行の問題
 著しく市場価格よりも有利な新株の割当ては、既存株主の利益を損なう可能性があるので、有利発行として株主総会決議によらなければならない。その有利発行に当たらなければ、通常のファイナンス同様に取締役決議で済む。問題は、この有利発行に当たらない発行価格水準(株価)はいくらかということだ。
結論は、ファイナンス決議を行う取締役が、有利発行でない合理的算定根拠を示す必要がある。
日本証券業協会のワーキング・チームの調べによると、発行価格水準が公表直前日の株価を10%超下回ったのは、
平成19年:第三者割当増資151件中、71件
平成20年:第三者割当増資121件中、26件
平成20年:第三者割当増資150件中、52件
となっている。
10%以内のディスカウントなら、特定の第三者に割当ても良いということではなく、発行企業は、その株価が有利発行でない合理的根拠を、示す必要がある。(既存株主には、発行差し止め請求権がある。)
この事は、昨年東証上場規則や金融商品取引法の開示府令でも手当てされた。

② 割当者の裁定取引行為、短期売買
 大量の第三者割当は、本来の目的は、事業再生や本格的業務・資本提携によるものなので、割当てられた先が短期売買するはずはないが、短期の資金繰りの代替に使われた場合、割当先のファンド等が大幅にディスカウントされた新株を使って、市場で売却するなどの裁定取引を行う事がある。株主に示されたファイナンス目的とは異なる結果になる。しかし、取引所規則や法規制で、一旦割当られた新株の売買を規制することは出来ない。

③ 第三者割当の実行に係る疑義、及びインサイダー取引や相場操縦など不公正取引行為
 このケースが目立つのは、増資対象企業の業績悪化が続いて、株価が低迷しているような場合の第三者割当だ。業績悪化の企業の、第三者割当が問題と言う訳ではなく、この様な企業を利用して、不公正取引を行う犯罪行為もあるということだが、資金繰りに窮している企業が狙われやすい。企業が第三者割当で再生することもあるし、またファイナンスに至らずに市場から退場していくケースもある。それらを選別するのも、また市場の機能だが、これらの企業を不公正取引の犯罪行為から遮断する取組みも、市場機能としては、また必要だろう。


 第三者割当の場合は、証券会社にとって引受行為は発生しないので、自ら当事者となるアーバン事件のBNPパリバの様な稀なケースや、M&Aに関係しなければ、あまり関与しない。しかし、問題第三者割当が日本の資本市場機能を損なっているとするなら、取引所規則や法規制に頼るのではなく、市場仲介者として行うべきことがあるように思う。とりあえず以下の3点を上げてみた。

○第三者割当の割当先から、ある一定期間は、当該銘柄の売却注文を受けない。受ける場合は、売却理由の公表を求める。(海外業者へも取次がない。)
○少額のファイナンスに対しても、対応する部門を作り、機関投資家等への取次、ファンド組成など、中小ファイナンス対応を一定規模以上の証券会社に義務付ける。(引受判断は自らの方針に沿うべきだが、引受審査件数を義務付ける。)
○上場会社の主幹事機能を明確にし、有料を前提に第三者割当のファイナンシャル・アドバイザー機能を主幹事若しくは幹事証券に義務付ける。

 自由な資本市場の方が、参加者には好ましいだろうが、行き届かない資本市場機能の修正の為には、これぐらい、市場仲介者として証券会社が果たす市場修復機能が、必要なのだろう。

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