*All archives* |  *Admin*

2017/08
<<  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31  >>
靴ひもと電話
冬季オリンピックもたけなわで、バンクーバーから伝えられる日本選手達の映像は、勝っても負けても大きな感動を与えてくれる。男子フィギュアスケートでも、3人の演技は其々に良かったが、靴ひもが切れて演技が中断した選手もいた。不運とか悲劇という報道も目立つが、アスリートならリングに出る前から試合は始まっているのは当然だし、このことは本人が一番自覚しているだろう。

 一方、KDDIによるJCOM(ジュピターテレコム)出資問題で、当初KDDIが実質的に37.8%保有する出資スキーム(資産管理会社を通じて出資する分は、34.1%)が、3分の1以上を保有する場合は少人数(10名以内)であってもTOB(公開買付け)を実施しなければならないTOB規制に抵触するとして、31.1%の保有に減じた。このことは、金融庁とKDDIの話し合いで決定された。
 KDDIが、一旦出資を公表した後、金融庁の調査によって、出資比率を引き下げたことで、法規制に記載がない資産管理会社スキームでの保有まで規制するのかといった、批判が一部にあるようだが、今回の件は、金融庁の対応を全面的に支持したい。
確かに、TOB規制には、今回の出資スキームの様に、株式を保有する資産管理会社を買収する場合の記載はないが、間接的に保有する場合でも、実質的に議決権をKDDI側が行使出来る場合は、株主総会で3分の1以上の議決権を行使する拒否権を、KDDIが握ることが出来る。TOB規制の目的に照らすなら、当然、今回の出資スキームも、TOBを実施すべきだったというのが、資本市場としての結論ではないだろうか。

元々JCOMは、1995年に住友商事とリバティー社(今回、KDDIに株式を譲渡する)が合弁事業として設立し、2005年にジャスダックに上場している。今回のKDDIの出資は、合弁契約解消に伴うリバティー社持分の取得になる。出資スキームが、複数の資産管理会社を通じて行なわれるのは、この合弁事業進展の過程で、出資比率や事業戦略上の問題があってのことだ。KDDIの取得に関して、出資スキームの創意・工夫があったようには、公表文の範囲では分からないが、せめてTOB規制に関する事前確認を、証券会社・弁護士を通じて行うべきであった。
今回の出資案件では、JCOMが上場会社である以上、当然ファイナンシャル・アドバイザーとして投資銀行業務を行う証券会社が付いていると思われるが、もしそうであれば、資本市場のプロとしては甚だ甘い判断だと言わざるお得ない。

市場のルールは、形式要件さえ守っていれは、後は自由に振舞える時代では最早ない。証券取引法から、金融商品取引法に替った時、証券会社等の行為規制に関しては、あれ程ナーバスに対応した証券会社だが、どうもTOB規制など投資銀行業務に関するルールの判断では、時々エラーが出るように思う。
今回の件も、大きく言うとM&Aに関する助言なのだろうが、いまやM&Aアドバイザーは、証券会社でなくとも誰でも出来る。しかし、M&Aの対象が上場会社の場合、資本市場に向き合った助言行為が必要になり、法律事務所や会計事務所では判断が難しい事象も発生する。
 証券会社は、上場会社が関係するM&Aの場合に、他のアドバイザーに比べてこの様なアドバンテージがあるのだから、その助言内容も資本市場ルールの目的に沿ったものでなければならない。また、企業に対して、資本市場利用の利便性を図るとともに、ルールの目的を認識させる必要もプロとしてある。

その様なプロフェッショナルを育成してこそ、投資銀行としての強みが発揮されると、日本の証券会社にも期待したい。
スポンサーサイト

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

Secret
(非公開コメント受付中)

最新記事
カテゴリ
最新コメント
プロフィール

ポーラスター

Author:ポーラスター
2009年1月スタート

最新トラックバック
月別アーカイブ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク
RSSリンクの表示
参考文献
QRコード
QRコード