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2017/08
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大量保有報告書から見えるもの-その2
 このテーマの2回目になるが、大量保有報告制度の基本的な仕組みを復習しておきたい。
○株式等保有割合を5%超保有した場合、報告義務が発生する。
○報告書提出後、1%以上の増減、重要な記載事項について変更がある場合、変更報告書の提出義務。
○約定から5営業日以内に、報告書は提出。
これだけだが、実務的には以下のポイントを押さえる必要がある。

・議決権行使の5%超を行う保有者を公表させることが目的だが、議決権行使の可能性まで押さえようとすると普通株式だけではなく種類株・新株予約権等も合算して把握する必要がある。また契約により、株式を保有していなくとも議決権を行使できる若しくはその可能性がある場合も、その契約を公表しておくことが求められる(5%超の保有)。
・一人であってもグループであっても、同一の目的で議決権を行使されれば、その効果は他の株主にとって同じことである。よって、以下の仕組みで、報告を求められる保有者が捕捉(保有比率が合算)される。
≪実質共同保有者≫議決権その他の権利の行使について合意している者、書面だけでなく口頭での合意も
含む。[株主間契約、株券等の共有、民法上の組合保有、みなし共同保有に該当しない親族・グループ会社等の保有など]
≪みなし共同保有者≫共同保有の蓋然性が高いと見做されるもの。[夫婦、支配・被支配の関係にある企業、組合と業務決定機関の支配者など]
※なお、単独で0.1%以下を保有する者は、みなし共同保有者から除外される。
・その1で取り上げた村上ファンド等で問題になったファンド特例(3ヵ月に一度の報告)は、2006年12月の証取法改正で、2週間に1度に変更されている。
・重要な記載事項としては、保有目的・重要提案行為・貸借契約や担保契約などの重要な契約・取得資金などがあるが、これ等が変更した場合も、変更報告書の提出が必要になる。

 以上を踏まえて、再び金融庁のQ&A案から問題の背景を取り上げてみたい。

【第三者割当における一定期間譲渡しない旨の合意】
報告書に記載する必要があるとされている。経営救済型の割当増資なら一定期間売却しないのは当然と思うが、ファンド等の短期投資と明確に判別するには、記載を義務付けけることは有効かもしれない。

【投資銀行業務に係るもの】
ファンドや機関投資家相手に大量の株式の売買を行う投資銀行業務関係では、
レバレッジ取引や貸株サービス・決済保管サービスなど行うプライム・ブローカレッジ業務で、顧客から預かっている株式に関する報告義務の設問に対し、何らかの契約により、その株式の処分する権限が投資銀行側にある場合は、報告義務があるとしている。また、エクイティ・デリバティブ取引に関して、デリバティブ取引とダイレクト・マーケット・アクセス取引(投資家が取引所へ直接発注:主にアルゴリズム取引)を組み合わせた事例が示されていて、デリバティブ取引におけるロングポジションの保有者は、ショートポジションの保有者がヘッジで実際に取得する株券の実質的保有者として見做され、保有者としての報告義務があるとされている。

【組合での保有】
業務執行組合員等以外の組合員は、自己の持分に相当する部分を、株券等保有割合に算入する必要はないとされている。

【共同保有者の問題】
口頭での合意であっても、当然共同保有者とされる。また、株主提案を共同して行うという明確な行動でなくとも、株主総会での議決権行使について話しあった場合においても、合意した時点で共同保有者に該当すると回答されている。

 大量保有報告書は、単に保有者の持分の移動を表すだけではなく、その時の資本市場に起きている取引手法やファイナンスの影響も、示すものになってきている。
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