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2017/10
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市場に於ける情報の共有問題について
 この業界は、投資家の投資ニーズ(需要側)と、金融商品を提供する側の調達ニーズ(供給側)を仲介することで成り立っている。供給側の主役である企業に対しては、市場仲介者として、コーポレート・ガバナンス強化を求め、結果、企業の情報開示は年々充実してきている。(企業側からすると負担感が強まっている)

では、市場仲介者として自らのガバナンスに関しては、この業界はどう考えているのだろうか。とある業界での講演会で、講演会のテーマが“金融サービス業のガバナンスを考える”だった時の話。
 講師と聴衆であった業界関係者の質疑応答で、金融サービス業の利益の源泉は情報の非対称性にあるが、市場のゲートキーパーとして、参加者間の情報共有に努める情報仲介機能も重要との講師の主張に対して、
ルールで定めるべきとの意見が出されていた。長年、規制業種(許可制から登録制になってはいるが)だった業界の慣性を差し引いても、元々情報の非対称で利益を上げてきた業界からみると、情報共有に関して潜在的な抵抗感があるようだ。確かに市場において、誰かが買いたい売りたいという情報は貴重で、市場仲介者としての戦略や戦術にも影響するが、今問題になって情報共有は、市場で取り扱う金融商品そのものの情報のあり方だ。

 金融危機の主因は証券化商品とCDS取引と言われるが、大きく問題となったのはCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)に関する情報のあり方だった。CDSを利用した証券化商品で、同一のCDSが二重にも三重にも利用された結果、投資家は勿論、仲介者自信においてもCDSの対象となる企業や団体の信用リスクの影響が、何処まで及ぶか把握しにくくなった。また、CDSは社債やローンの債務を代替する(保証)機能を持つが、CDSの売り手(債務の保証者)が債務を保証しなければならなくなるクレジット・イベント(破綻・借入条件変更など)の判断も、本来は売り手・買い手が契約に基づいて相対で決めるということから、ISDAの専門委員会で大手金融機関の合意によって決められるという慣行になって、外部や投資家からは分かり難い。このことは、最近のアイフルの事業再生ADRにおけるCDS関係の混乱で、問題が明らかになっている。
 筆者は、ISDAの様な業者間の実務的取決めとその遵守を否定するつもりはない。CDSは確かに大手金融機関とヘッジファンドなど一部の大手投資家間の限定された市場である。しかし、CDS情報の影響はCDSマーケットだけに限定されておらず、社債そして株式が公開されていれば株式市場にも影響を及ぼす。このことを考えるなら、CDSに関する情報は、社債・株式市場の参加者・投資家間で共有されるべきであって、その視点で考えるなら、日本でまだ取引は少ないCDSではあるが取引情報を集約させる仕組みとして清算機関を敢えて作り、CDS取引において清算機関利用を義務付けることは意義があることだろう。今度国会に提出される金融商品取引法の改正案において、このCDS取引のうち、取引量が多額で、その取引に基づく債務不履行が日本の市場に需要な影響を及ぼすおそれがあるものとして、取りあえずiTraxx Japanは、 国内清算機関への清算集中が義務化される。(将来的には、個別企業などのCDSも清算機関義務化の対象)
また、国内での清算機関設立に合わせて、取引情報蓄積機関の整備が可能なように制度整備を行う。日本の市場で取引される有価証券がペーパレス化で証券保管振替機構に集中したように、店頭デリバティブ取引(金利スワップ・CDS取引)においても取引情報を蓄積するのが取引情報蓄積機関だが、既に海外の記録機関の利用が大手金融機関では進んでいるようなので、国内機関での利用義務化は行うわず、取引報告制度を創設し、国内での取引実態を当局が把握する。
 以上の様に、CDSに関する取引情報はルール(グルーバルな金融当局間の合意を前提にした規制)により共有化が促進される。

一方、このCDS取引の影響を受ける可能性のある社債市場に関しては、情報の共有化はどう進められるのだろうか。既に、2月4日の拙稿で触れたが、特に価格情報共有に係る問題については、次回コメントしたい。
 
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