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不公正ファイナンスの仕組みと証券会社の対応
箱企業というのがあるようだ。この意味は、企業の目的とする本来のビジネスとは別に、単にお金の出入りに為の“箱”の様に使われる上場企業ということだが、主に株式や新株予約権などの第三者割当増資の手法を使って行われる不公正ファイナンスの発行企業のことを指す。証券取引等監視委員会によると、以下の様な事が、箱企業悪用のメカニズムのようだ。

(3月10日東京証券取引所メールマガジン:証券取引等監視委員会「不公正ファイナンスへの対応(その2):箱企業悪用のメカニズム」より)
・箱企業は経営不振から資金調達に困難をきたし株価も下落している。
・しかし、箱企業に目的としては公開市場から調達した資金を社外に流出させることなので、何としても上場維持しようと第三者割当増資等のファイナンスを試みる。
・この様な箱企業は、ファイナンスが公表されれば資金調達の目途がたったとされ、株価が上昇することもある。また、箱企業を実質的に支配している特定の株主やその周辺のグループが株価操縦により意図的に株価を高騰させることもある。
・ネットの掲示板を利用して、買付けを煽るような風説の流布も行われる。
・この様な状況を利用して、第三者割当増資公表前に買付け、公表後に売り抜けるようなインサイダー取引も行われるケースもある。
・第三者割当増資で調達された資金も、公開された資金使途では借入金に返済やM&A資金となっているが、実際は社外への投融資にかたちで流出し、翌期には特別損失で処理される。
・箱企業の監査は、財務内容に悪化からゴーイクング・コンサーン(継続企業の前提)に注記がつくが、監査法人に変更も多く、監査法人の中には箱企業の駆け込み寺のようなところもある。
・この様な過程の中で、箱企業のガバナンスは崩壊し、仕手筋や反社会的勢力とも結びつき、ファイナンスを使ったマネーロンダリングや、関係者の脱税など様々な違法行為を誘発する。

 上場の際、多大な苦労をされて新規株式公開まで辿りつく企業の末路として、何とも切ない想いに囚われるが、市場仲介者の証券会社として、何か出来ることはあるのだろうか。
 証券会社が上記な不公正ファイナンスに関与しないのは当然だが、この4月1日から以下の対応をとるよう自主規制ルールを改正している。
○企業からファイナンスを引き受ける場合で、過去5年以内に第三者割当増資がある場合、当初の割当先の変更がある場合は、その内容を公表するまで引受けを行ってはならない。
○自らがMSCBなどの買受け者となる場合、直前の第三者割当増資において割当先の投資行動が当初の公表と異なっていた場合は、買受けを行ってはならない。
○関係会社での買受けや、斡旋も同様の対応を企業に要請する。

 上場企業と証券会社の関係でいうと、確かに主幹事・幹事証券(ファイナンス時以外でも)として企業から重要な相談を受ける場合が多い。しかし、不公正ファイナンスを行う様な企業は、箱企業化する過程で、証券会社の方から足が遠くなるのも、また現実の様に思う。
 幹事証券として、企業から一番相談事が多いのはディスクロージャーの件に関してだが、このディスクロージャーを通して、企業のコーポレート・ガバナンス強化に役立っていくというのが市場仲介者としての証券会社の機能であり、またそれが限界なのだろう。
やはり、時代や経済環境の変化やビジネスモデルでゴーイクング・コンサーンが難しなった企業は、公開市場という場から退場してもらうのが本来のあり方だと思う。この業界は、市場からの退場システム整備に尽力する必要も、求められている。
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