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2017/08
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証券業に起きている変化=最近の証券会社検査の状況から見えるもの
 法規制は遵守するのが当然だが、日々変化している市場や進化している業態においては、意図しなくてもルールの目的に照らすと問題があったり、必要な実務が抜けていたりする事がある。問題が大きければ、その業者の存続の危機にも追い込まれることもあるが、業界全体としては、キチンと対応してきたので、最近は株屋などと言われなくなった。そう信じている。
その意味で、証券取引等監視委員会(SESC)におけるここ1年の証券会社への検査で、指摘されている事項をみてみると、その背景には、今のこの業界に起きている変化で、一部の業者が実務的に対応しきれていない事象がある。
先ず変化の方から見ると、

・IT化の進展=インターネット取引が個人の金融商品取引で定着し、主要ネット証券5社で7割のシェアを占めるようになってきたが、この5社のうち証券会社だったのは松井だけで、残りは他業種からの参入組である。最近は、株式に加え投信や債券、そしてFX取引と取扱う金融商品の幅を広げていて、個人投資家に対するネット証券の重要性も増している。一方、大手の機関投資家に対する証券会社のサービスとして、売買注文を専用システムを使って直接取引所に取次ぐDMA(ダイレクト・マーケット・アクセス)が日本でも使われ始めている。本年から超高速化した東証新売買システムで、このDMAが大手投資家のアルゴリズム取引等に活用され、市場全体の流動性が向上することも期待されている。

・投資手法の変化=金融危機を経験したことで、個人投資家のセオリーとされてきた長期投資に見直しもあった。まして日本に関しては右肩上がりの持続的経済成長に対するイメージが湧き難い昨今だ。マスコミでは、大手証券の投信の販売手法の相違が一時話題になったが、新規に買う投信の利益目標を設定して達成したら次のテーマの投信に乗り換えてもらう販売手法が良いのか、長期投資を前提に投信の残高を増やしていくのが良いのか、個人投資家がその事を決められる時代になっている。一方、機関投資家(海外ファンドも含む)は、上記の様にIT化の恩恵を取引手法上も受けているが、一方ではグローバルな金融規制の影響もあって、“空売り規制”は報告体制から強化され、特にネーキッド・ショート・セリングと言われる株式を全く手当てしていない空売り禁止されている。(時限措置だったが、恒久化される可能性が高い)

・顧客情報の管理態勢=M&Aが増加していて、上場企業が関係することも多い。TOBに係る関係者のインサーダー取引の摘発も増えているが、インサイダー取引でなくとも未公開の法人関連情報は厳格に扱うのが当然だ。まして、オプトアウト方式で法人情報は銀行・証券で共有出来るように昨年6月から変わっているのだから、顧客法人の利益相反を避ける為にも、情報管理態勢が求められている。

以上を踏まえて、以下SESCの指摘事項をみて欲しい。
【売買審査体制の不備】
・内部者取引等不公正取引未然防止の観点からの売買審査未実施
・DMA取引に係る不十分な売買審査態勢
【法人関係情報の管理態勢の不備】
・引受審査部が取得した法人関係情報を売買審査部へ報告することを失念
・海外関連会社が関与するM&A案件に係る法人関係情報の登録漏れ
【空売りの明示義務に係る内部管理態勢の不備】
・フェイル(引き渡す株式がなくて決済できないこと)を多発させている空売りの注文顧客について、フェイル発生原因等に係る確認の未実施
【相場操縦行為】
・特定の銘柄の相場を固定させる目的をもって買付けの申込み等を行う行為
【経営管理態勢に係る重大な不備】
・コンプライアンスよりも収益を優先した営業推進を行い、多数の顧客に投信の乗換えに係る重要事項の説明をせず、管理者もこうした状況を黙認
【システム管理が十分でないと認められる状況】
・電子情報処理組織の管理に係る業務改善命令を受けて金融庁に報告した改善策の実施状況が不十分
・大規模なシステム障害が立て続けに発生したことに加え、障害復旧態勢の整備が不十分
【異名義入金に係る顧客管理態勢の不備】
・証券口座名義と銀行口座名義が異なっていても入金が可能で、有価証券の買付けが可能となるなど顧客管理態勢に不備
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ジャンル : ビジネス

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