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金庫株の今日的意味
 金庫株とは、主に公開企業の保有する自己株式のことを指す。公開企業は発行している株式に関して、自らが原則市場より買い戻すことが出来るが、これは以下の経緯による。
 本来企業は自らの資本を充実する為に、株式を発行するが、蓄積された剰余金を株主に払い戻すとい目的で、次の様に自己株式取得が緩和されていった。(緩和の目的は、企業間株式持合いの解消の為の受け皿)
1994年:旧商法改正で、自己株取得解禁。但し、株主総会での決議。取得方法は市場からの買付けかTOB。自己株取得後は、原則消却。
2001年:旧商法改正で、金庫株解禁。つまり、消却やストック・オプションへの充当の目的がなくても、自己株式を取得し、そのまま置いておくことが可能になった。この使用目的が定まっていない自社株式保有の状況を金庫株という。
2003年:それまでは、自己株取得は株主総会で取得そのもの若しくは取得枠を承認される必要があったが、定款に取得枠を予め定めておけば、取締役会決議で取得が可能となった。自己株式取得の機動性が向上したということだ。
 この結果、企業によっては発行済株式総数の1割を超える自社株式を保有する企業も相当数あるようになったが、企業が目的もなく自社株式を保有し続ける状況が正しいのだろうか。そしてこの業界は、企業からよく金庫株の使用目的や使用方法に関するアドバイスを求められる。株主総会での質問の定番に、金庫株の使用目的が入っていると思うが、金庫株の使用目的=保有し続ける理由は以下のようなものがある。
(※株主・投資家が一番求めるのは消却することだが)

○役社員へのストック・オプション見合いの保有。ただし、ストック・オプションの効果そのものは、投資家の評価は余り高くなってきているが、役員の退職金見合いの“1円ストックオプション”なら今でも多少評価されるかもしれない。
○M&Aの為の買収通貨として保有しておく。確かにこの目的だと大量の自己株保有の名目もたつが、実際の事業戦略に繋がるようなM&A戦略をディスクロする必要がある。
○新株予約権付社債の行使目的の保有。新株予約権付社債を発行し、その調達資金で自己株式を取得、新株予約権の行使請求があるまで、保有し続けることも可能だ。これだと、新株予約権が5年債なら5年間の保有名目はたつ。
○ESOP(税制適格な従業員持株制度)使用目的。ESOPの制度設計と金庫株保有は直接関係ないし、株主からみれば評価は中立だと思われるが、金庫株の使い途が明確に示されることは好感されそう。
○広くはM&Aに含まれるが、業務提携に係る資本提携において、金庫株を割当てることは可能だし、最近の傾向として増加している。ただ、業務提携目的がない場合、単なる株式の持ち合いになるので、割当て目的は明確にしておく必要がある。
○株主に無償で割り当てる。2006年に会社法が制定されて、株主に対する無償割当ての制度が出来た。企業が自社株価が安すぎると思ったとき、市場より買付け、株価が一定水準に戻ったら株主に無償で割り当てる。ある意味で、この制度の理想のようにも思うが、剰余金が潤沢にあること株価操縦行為に配慮する必要もある。
○取得条項や全部取得条項などがついた種類株の対価とすることも可能だが、かなり特殊な企業の状況になるだろう。
 以上の様な金庫株保有目的に関して、企業と議論していくのも投資銀行の大事な仕事である。但し、昨年から株式が完全ペーパレス化していて、金庫に入る株券はもはや無い。それに、以上の様な使用目的は、あくまでも自己株式の保有目的であって、実際は上記の使用目的の為に新株を発行しても同様の効果がある。(金庫株使用の方は、新株発行の為の登録免許税削減の効果はあるだろう)

ちなみに、公開企業の自己株取得・消却状況は以下のようになっている。(東証調べ)
2009年:≪取得≫398社、8359億円≪消却≫79社、8123億円
2008年:≪取得≫800社、4兆315億円≪消却≫161社、2兆5303億円
2007年:≪取得≫541社、4兆4942億円≪消却≫67社、1兆6709億円
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