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2017/11
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地方債市場としての問題点
前回に続き、地方債を取り上げるが、社債以上に流通市場が小さく投資家も限られたものを何故取り上げるかというと、市場として今後大きくなると期待されるからだ。それは、地方財政改善計画などで、地方債全体の発行額は抑えられたとしても、国の財政投融資資金や地域金融機関での証書方式(実質的にローンで流動性がない)分の引受減少分を、市場公募債市場で補っていかなければならない。つまり、地方債は、地方債市場≒市場公募債市場として今後も発行増加が見込めるからだ。

しかし、債券市場として地方債市場が発展して行く為には、主に以下の事が必要だされている。
○投資家の多様化
○流通市場整備
○地方債インフラの整備

 まず投資家の多様化だが、簡単に言い切ると、海外投資家と個人投資家(ファンドなどでの間接保有も含めて)の保有分が少ない。この傾向は、日本の債券市場全般にも言えるが、国債の保有に関しては、海外投資家と個人投資家が其々全体の5~6%保有するのに比べても極端に保有割合が見劣りする。特に海外投資家の保有は超長期債に限られていて、それも1000億円程度となっている。
この為、税制面での整備が行われ、平成20年から地方債も国債と同様に利子及び償還差益に対して非課税化し、発行体毎必要だった非課税手続等の事務処理も本年から簡素化される。また、地方債協会や一部発行体は、地方債の海外IRに取組み始めている。海外投資家からの指摘事項で多いのは、決済制度や流通の仕組み、発行体の英文情報、発行ロットの規模への指摘(少なくとも500億円以上の発行規模を要求)などだが、やはり海外投資家への情報発信が少ないということのようだ。
 一方、個人投資家増加への取組みは、資金使途を病院や地元施設の建設等に限定した住民参加型市場公募債もブームを過ぎた様で、平成18年の123地方公共団体3513億円の発行をピークに、最近は発行体・発行額とも減少している。この住民参加型の地方債は、地域に必要な施設をつくる為、住民に建設費用の一部負担に参加してもらうということで平成13年から始まったが、単なる投資とは異なる住民参加という新しい概念を地方債に取り込んだことでは評価される。しかし、通常の市場公募債の投資家として個人を呼び込む取組みも、地方債の投資家拡大の為には必要だ。

 投資家の多様化を考えた時、資本市場の論理としては、その多様な投資家間で売買取引に必要な情報を共有化する事から始まるべきだが、債券の場合、その情報は大きく分けると発行体の信用力に関する情報(クレジット情報)と価格及び流通量に関する情報(流動性情報)に分けられる。
地方債に関するクレジット情報に関して、“暗黙の政府保証”や公会計問題の議論は専門家に委ねるとして、格付け情報や地方債CDS情報なら、クレジット情報として個人まで活用できる可能性がある。
 地方公共団体の格付取得は、近年増加しているとは言え、市場公募債発行団体47団体のうち24団体に留まっている。R&Iは、公表データをベースに勝手格付け(発行体から依頼されない)のop格付けを行っていたが、2008年末をもって取り下げられ、投資家サイドからは惜しまれる。市場公募債は、個人も取得可能なので、何らかの格付取得を義務付けて欲しい。
一方、地方債CDSも価格情報が一般に流れるようになってきている。債券やローンの保有者がリスクヘッジの目的(地方公共団体の場合、米国以外が破綻することはなく、元利払いに遅延・条件変更リスク回避が主な目的になる。)のCDSの購入が、地方債保有の金融機関にも使われ始めているが、最近は、債券・ローン・CDSをセットで、クレジット市場として捉えるのが一般化しているので、CDSの価格情報も有力な投資判断情報になる。

 社債市場でも問題になっている流通価格情報は、東京都債など一部の銘柄を除いて、個人投資家には取得し難い状況が続いている。日本証券業協会の行う公社債店頭売買参考統計では、地方債では1732銘柄が毎日午後5時半には公表されているが、社債の場合と同様、実際の売買に有効な価格情報とされていない。
但し、決済インフラは他の有価証券と同様にペーパレス化され、証券保管決済機構で保管・決済が集約される。この決済の際に、売買代金も一緒に決済するDVP決済が地方債取引の一部で行われていて、この分は価格情報が証券保管決済機構に集まっている。実際の地方債取引の価格情報となるが、この価格情報の活用は、社債の場合と同様期待されている。

決済インフラをもっと有効に活用し、地方債関連情報を個人も含めて共有する仕組みを構築していくのが、目下の命題だと考える。その為には、発行者として市場評価を素直に受け入れる地方公共団体側の対応も必要になるだろう。

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