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2017/10
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4月から始まるIFRSの影響-その2
前日に続き、IFRSの今後の影響を資本市場的に見ていきたい。IFRSは原則主義と言われるが、その原則のコアになるのが、“純資産アプローチ”と言われるもので、企業の期首と期末の純資産の増減を比較し、その増減をもって総じて利益(包括利益)とする。現在の日本基準の売上げからコストを差し引いて利益とする方法(収益費用アプローチ)とは考え方が大きく異なってくる。純資産の増減を正確に知る為には、其々の資産を正確に測定する必要があるので、IFRSは時価会計全面適用のイメージが強い。しかし資産を正確に測定する方法は、時価(IFRSでは公正価値という)だけとは限らない。その資産の内容によっては、時価だけ、時価か経営者の決めた方法のどちらかの選択、経営者の決めた方法での資産価値算定に、分かれる。この会社資産の期首と期末の変化を会社の利益として見るのが、包括利益という考え方だ。

この包括利益(つまり期中に資産が増減した部分)には、事業で上げた利益(純利益)もあれば、事業に直接関係ない資産の増減(その他包括利益)もある。現行の日本基準で、その他包括利益に組み入れられるのは
・その他有価証券評価差額金
・繰延ヘッジ損益
・為替換算調整勘定
・土地再評価差額金
などがある。新たに時価評価して計上するIFRSへの共通化項目として、
・過去勤務費用(退職給付会計など)
・再評価モデルを選択した場合の固定資産の再評価剰余金
なども検討される。業績は純利益でみるが、業績には関係ないが将来の純利益に影響を与える純資産の変動要因はその他包括利益でみて、総じて包括利益とする。

この包括利益の考え方が日本でも取り入れられる。2009年12月25日に企業会計基準委員会(ASBJ)より公開草案“包括利益の表示に関する会計基準(案)”が示されていて、6月までに最終案を固め2010年度第2四半期から基準化を目指すとしている。((案)は連結及び単体でも包括利益表示の導入を2011年3月に目指すとしているが、IFRSは日本では連結での任意適用が先行するので、このこととの整合性を調整中)
この包括利益導入は、保有株式売却での益出しなど経営者の恣意性を排除する為と考えられている。
例えば、現状の持合い株式は、その他有価証券で分類され、期末の評価損益は評価差額金として純資産に直接計上されP/L(損益計算書)には直接反映しない。経営者がこの評価損益をP/Lに反映したと思えは、売却し特別利益のその他有価証券売却益になり、当期純利益に反映する。所謂、益出しである。
包括利益になるというと、P/Lの替わりに包括利益計算書になり、含み益はこの包括利益の中で、その他の包括利益(その他有価証券時価変動分)として利益計上され、当期純利益とは区分される。実際売却した場合どうなるかというと、包括利益計算書において、その他包括利益(その他有価証券時価変動分)がマイナスされ、特別利益でその他有価証券売却益が当期純利益に反映される。このことをリサイクリングというが、価格の変動がなければ、包括利益全体は変わらない。
つまり、投資家も包括利益で会社の利益を見るようになれば、少なくとも投資家にとっての益出し行為そのものの意味はなくなる。

[IFRSとの共通化で、2010年4月以降から適用される分]
・棚卸資産の後入先出法廃止(市場の変動を財務に反映させる為)、なおこれにより増税になる企業に対して、7年間で均等にならす経過措置
・資産除去債務の計上・費用化(将来の建物・施設の撤去費用を反映させる為)
・関連会社も含めて会計方針の統一、企業結合時の持分プーリング法の廃止等などで、M&A会計の明確化が進む。
・セグメント情報開示で、セグメント決定方法が内部数値にもとづくことが求められ、経営者の視点での開示が進む。
※この業界にもっとも関心の高い金融商品会計に関しては、IFRS自体も現在大幅な見直し中であるが、米国会計制度との共通化問題もあって、2011年6月までには確定しなければならない。時価(公正価値)の測定方法やローンなどの貸倒引当金計上問題、ヘッジ会計の動向など最終案提示を見極めた上で、日本の金融商品会計も定まる。
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