*All archives* |  *Admin*

2017/10
<<  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31  >>
新株予約権の使い様
 上場会社の400社以上が導入している買収防衛策は、今年すでに50社以上が廃止を決めている。この買収防衛策は、一時ライツ・プランと呼ばれたが、敵対的買収者が現れた際、新株予約権を使って、買収者の持分を実質的に希薄化させようとするものだ。例えば、敵対的買収者が株式を20%した後、会社側は買収者以外に新株予約権を付与することで、買収者の持分を10%以下に低下させてしまうことが出来る。
この新株予約権は、実に様々な企業行動の局面で使われていて、今までは既存株主にとって余り良いイメージがなかった様に思われるが、最近、株主に優しい増資方法として注目されているライツ・イシューも、株主全てに新株予約権を無償で割り当てるものだ。
新株予約権とは、これ以外にも多彩な使い方があるが、このことを少し整理してみたい。

【新株予約権の定義】
株式会社に対して行使することにより当該株式会社の株式の交付を受けることができる権利をいう。(会社法第2条21)

【新株予約権の基本的な構成】
①何株の新株を払い込む権利か
②いくらで新株を受け取ることが出来るか
③いつからいつまで有効か権利か
④この権利そのものは、いくらで発行するのか
基本的構成要件は以上だが、これ以外にも権利が終了した時どうするか、権利の行使する場合の条件等を付けるかなど、新株予約権の設計は相当な自由度がある。つまり、発行者である企業と、引受者間の合意があれば様々な新株予約権発行のバリエーションがあるということになる。このことは、株主には分かり難く、不評の一因にもなっている。特に、②と④の関係で、その発行が有利になっているかどうかは個人株主には一目して分かり難い。

【使い方】
○ファイナンス手段
資金調達の場合、株式と同様に公募と第三者割当があるが、単独で使われるケースは少ない。通常は、公募では社債とセットになる所謂CB(新株予約権付社債)としてか、第三者割当増資とセットとなるケースが多い。公募であっても第三者割当でも、ここで問題になることは②=行使価格が一番多く、④との関係で株主からみて有利発行なら、株主総会決議になる。新株予約権の行使を促す方法として、一定期間後に株価が下落した場合、その時の時価より安く②を下方修正する方法も取られるが、この方法は株主からみて更に有利かどうか分かり難く。時々問題となるMSCB(行使価格を下方修正するムービング・ストラクチャーのCBという通称)は、買付け者の裁定売り(新株予約権を持って、株を空売りすること)が予想されるので、株主には最も不評だ。但し、企業再生過程で使われた場合もある。

○M&Aなどの推進策
 上場企業のM&Aなどにおいて、買い手の意向に沿った事業推進などの状況を見ながら必要資金を供給する場合、この新株予約権が買い手に割当てられ、権利行使が段階的に実施されていくケースがある。また、買収の対価として、欧米では現金以外に自社株式や自社株式を対象とする新株予約権が売り手株主に支払われる場合もあるが、日本ではまだ一般的な使われ方とはなっていない。

○買収防衛策
 敵対的買収者の保有する株式の希薄化を図る為に、新株予約権を株主に割当て、敵対的買収者は権利行使しにくいような行使を制限する条項を付ける。実際に発動されたブルドックのケースでは、敵対的買収者に割当てされた新株予約権部分は、権利行使出来ないが、会社側が現金で買い取るスキームになっていた。この結果、会社が買収から新株予約権を買取り、その分の大量の配当可能利益が社外流出したことに関しては議論を呼んだ。買収防衛策は、敵対的買収者の安易な行動を防ぐ意味はあるが、実際に発動されると、会社法上(買収者も株主の権利がある)の問題も多く、様々なケースでは新たな判例に頼りかねない場合もあるとの見方が一般的に思う。

○ストック・オプション
 上場企業での一時の流行は下火になったが、役社員に新株予約権を与えるのがストックオプションだ。当初は、インセンティブ・プランとして導入が相次いだが、元々はベンチャー企業など報酬の対価に使うのが正しいのだろう。最近は、機関投資家などのチェックも厳しくなり、会社側が役社員へのインセンティブと報酬のあり方、そして付与する新株予約権の価値と行使の条件をキチンと見るようになってきた。

○何らかの対価としての支払い
 役員の退職金積み立てを止め、その分、行使価格を1円にして新株予約権を付与する事も行われるようになっている。また、コンサルタントなどに成功報酬的に付与される場合もある。ただし、この場合も、付与する新株予約権の価値の認識と、支払う対価のバランスをどう会社側が考えるかが問題になる。

 以上の様に、いろいろな使用目的にそって対価として使われている新株予約権であるが、株主に割当てる以外は、対価として使う側の会社経営者が、その新株予約権のバリューを正確・公正に把握し、それを株主に説明する責任がある。

スポンサーサイト

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

Secret
(非公開コメント受付中)

最新記事
カテゴリ
最新コメント
プロフィール

ポーラスター

Author:ポーラスター
2009年1月スタート

最新トラックバック
月別アーカイブ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク
RSSリンクの表示
参考文献
QRコード
QRコード