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2017/08
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企業におけるインサイダー情報
 証券会社の上場企業担当者は、時々上場会社から頼まれて、インサイダー取引の説明会を行う。自社の売買管理部などのメンバーを同行して、上場会社の役社員向けに行うものだが、企業にとって自社の役社員を、インサイダー取引のリスクから守ることは、重要なコンプライアンス対応になっている。自社株だけではなく、取引先のインサイダー情報に触れるリスクもあり、その際に情報をどう対応するか、役社員自身のインサイダー取引に関する認識も必要だ。
 といっても、何がインサイダー情報なのかというと、法規制やルール面から一般の個人には分かり難い部分もある。

 インサイダー情報の規定は、金融商品取引法の166条第二項に定められる“重要事実”だが、企業が決定するもの、発生したもの、決算情報などに関する未公開情報(子会社分も)で、詳細も定められているが、一方に軽微基準もある。例えば、M&Aに関する情報は基本的には重要事実だが、売上げの10%増減に影響しないようなものは除かれる。最近、話題の不測の社長交代はどうかというと、代表者の交代は取引所の適時開示要件だが、重要事実ではない。ただし、多少やっかいなのは、投資判断に著しい影響を及ぼす事項=バスケット条項がこの“重要事実”に含まれることだ。社長交代そのものは、重要事実でなくとも、その交代の背景に投資判断に影響を及ぼす可能性がある重要な子会社の再編問題があると、こちらの方は“重要事実”になる可能性もある。このバスケット条項は、何か一般の投資家の判断に影響するか、企業が置かれている環境や、市場の状況によっても解釈が難しいので、証券会社はよく問合せを受けるが、最も良い方法は、情報のある程度まで公表してしまうことだ。

 インサイダー取引は、未公開の重要事実をもって、株式を売買することなので、役社員に株式の売買を禁止してしまうというのは本末転倒である。それは、証券会社の役社員であっても国会議員であっても同様であるが、未公開の重要事実=インサイダー情報を持たなければ、株式の売買は規制されるべきではない。但し、本人が意図せざるインサイダー情報への関与もあるので、企業は、重要事実情報の管理を徹底するとともに、役社員(家族も含む)の株式売買を捕捉しておく必要がある。この為に、以前、弁護士や会計士やマスコミなど資本市場に関与した業務を行う人々も対象にすべきとして紹介した日本証券業協会のJ-IRISS(ジェイ・アイリス:内部者取引管理システム)の活用が望まれる。

 実際のインサーダー取引の状況がどうなっているかというと、証券取引等監視委員会によるインサイダー取引での課徴金納付命令勧告べースでは、平成21年32件←平成20年20件←平成19年11件と増加している。平成21年の内訳は、公開買付けに関したものが10件(前年は3件)、会社更生・民事再生に関したものが8件となっており、前年10件あった業務提携に関したものは無くなっている。また、インサイダー取引の主体者別でみると、第一次情報受領者(会社関係者から直接情報の伝達を受けた者)は15名と約半数となっており、その企業の役社員が14名と続いている。

 企業の情報管理の甘さから大量のインサイダー取引者を出したケースもある。これは、オリエンタル白石が会社更生法申請をする前日に、事前に準備していた現場での留意事項を周知するメールを、社員数百名に誤送信してしまい、結果社内外で7名のインサイダー取引が起きた。

 M&AやTOBに係る情報は最も注目される情報だが、これらは時間も長期間に及び社外の関係者も増える。加えて、企業側の情報管理態勢整備に関しては、企業経営者の認識も含めてまだ不十分のようにも思われる。ただ未公開情報を厳格に管理すれば良いのではなく、情報の公表態勢や、役社員の株式売買状況の把握(業務上関係する企業の株式の売買は、個人情報の扱いではない)も含めてインサイダー情報の管理が、企業側にも求められている。
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