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2017/06
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2つのCDS
一般の投資家にはあまり関係ない事と思われていたことも、実は環境やタイミング次第で、その影響が大きいということが認識され始めている。特に、金融危機後のマーケットがそうだ。CDS(Credit default swap)もその一つで、最近の注目されていたギリシャの財政危機問題では、ギリシャ危機を煽ったのはギリシャ国債などを対象とするソブリンCDSに対するネーキッド・ショート(国債などを保有せずに、CDSだけ買う)が原因で、これを規制すべきだといった意見がEU内で強まっている。本来は国債などの保有リスクのヘッジの為に、保有するソブリンCDSだが、先行きの財政悪化→債券価格下落→金利上昇→国債の保証料相当であるソブリンCDS価格の上場を見込んで、ヘッジファンドや投資銀行などが先行したCDS買いを仕掛ける。このソブリンCDSに関して、4月14日日銀は “ソブリンCDS:市場現状と変動要因について”を公表している。

その概要は一部、日経などで報道されているが、ソブリンCDS市場はこの1年で30%以上の拡大して約2.2兆ドル規模に成長している。日本のソブリンCDSも時々話題にはなるが、米国や英国などと同様に市場全体の1%程度で取引量は限られている。取引量残高が多いのは、イタリア(約10%)トルコ(約8%)、ブラジル(約6%)、ロシア・メキシコ・スペイン(各々約5%)となっていて、取引は債務残高の多さには比例していない。また、この市場は想定する元本が大きく(例えば、5年債・5億円をソブリン債を想定)参加者も限られていることから、CDS価格の上昇や下落が急激に起き、又他の国にも波及する可能性があることをレポートは指摘している。
一方、毎月分配型の公募ファンドや直接のソブリン債投資により、個人投資家の外債投資が進んでおり、対象としては、上記ソブリンCDS残高上位の国への投資が多い。ソブリンCDSの急激な変動が、個人の外債投資に影響する可能性も考えなければならないが、ソブリン債の価格情報と共にソブリンCDSの動向を個人投資家に伝える必要も出てくる。但し、この取引は現在限られた取引参加者間の相対取引で、決済は相対になるので、実際の情報共有は限られる。(※取引照合は、米国の決済機関DTCCの子会社で殆ど行っている)

 もう一つのCDSは、当然企業の社債やローンを対象にしたものだが、東京金融取引所では、以下の様な概要で日本企業のCDS価格参考値公表している。
・123社の日本企業と、日本企業指数(50社分を指数化)
・想定元本5億円、5年物
・クレジットイベント(債務を代替する理由)は、倒産、支払不履行、リストラクチャリングの3つ
・主要な証券や金融機関22社が、店頭取引をベースに参考値を提供。午後5時半を目途に公表
日本企業のCDSも、2月のギリシャ危機懸念では全体的に上場したが最近は右肩下がりになっている。実際の代表指数Markit iTraxx Japanシリーズ 13の動きは、2月に150BPS以上あったものが、4月14日には、85.43BPSに急落している。
個別企業のCDSでは、昨年事業ADRに手続きに入ったアイフルのCDSが注目されていたが、これは3月25日に取引参加者による入札が実施され、元本の33.875%で清算されることが決まった。
これらのCDS取引は、確かに主要金融機関や大手投資家間の限定された取引だが、CDSの対象とする社債を個人が保有する場合もあるし、個別企業CDSの急激な変動が、その企業の株価に影響を及ぼす事例も出始めている。またCDSを企業の信用リスク情報としてインサイダー取引や相場操縦行為に悪用するリスクも欧米では指摘されている。

 確かに現CDS市場は参加者が限定されている市場だが、金融危機でなくともその影響は広く市場に及ぶので、資本市場全体での情報共有が進むことが望ましい。そのインフラとして、日本でもCDS清算機関が年度内に設立されるようだが、一般投資家も活用できる様な取引情報の活用が望まれる。
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