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2017/06
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上場企業の増資に求められるディスクロージャー
これから3月決算期会社の決算発表が始まり、6月下旬の株主総会に向けて企業の準備が本格化するので、この時期はファイナンス案件が減少する。昨年度は、年度ベースでみて上場企業の増資が6兆円を超え、バブル期以来21年振りの水準となったが、本年も7月に入ったら昨年同様に公募増資ラッシュの可能性もあり、市場関係者にとっては、この時期はつかの間の安堵かも知れない。
 最近、大量の第3者割当に対する金融庁の実質規制強化策(拙稿、4月12日“最近の規制強化2点”で概要を紹介)が公表されたが、株主にとっては、公募増資であっても大量の増資は大幅な希薄化を招き、ダメージを受ける。しかし、保有し続けるのは増資資金が企業の事業戦略上必要で、将来の企業価値の向上に役立つ、と信じるからだ。その株主の信頼の為には、企業側は増資資金の資金使途を明確にし、事業戦略との関係性を示す必要がある。増資の際のディスクロージャーでは、資金使途に関して定型的な文言の2~3行で済ませてはならない。

この事に関して、内閣府は“増資におけるコミットメントの有無と株価投資収益率”というレポートを今月5日に公表している。昨年1月から11月末まで公募増資を公表した企業54社を対象に、TOPIXをベンチマークに収益率を算出していて、概要は以下の通り。
●増資公表から120日後で、オーバーパフォームしている企業は16社。アンダーパフォームしている企業は38社。
●増資で得た資金使途に関して、具体的な戦略を示した企業は、増資公表後60日後を境に収益率が改善に転じたが。戦略的記載を行わなかった企業の収益率は低迷を続けた。
●業種別には、オーバーパフォーマンスだった電気・精密には戦略明示型が多く含まれていた。

 一方、投資家側の立場から、生保協会が毎年実施している“株式価値向上に向けた取組みについて”が3月19日公表されている。その中で、平成21年度の増資に関する投資家側(機関投資家168社)の意識として、以下に様な調査結果となっている。
●増資に関する企業側の説明は、一定程度されているとする53.9%に対して、あまり説明されていないとするのが42.7%。十分に説明されているとする者はいない。
●企業の説明に不足がある部分としては、
・資金使途の内容=7.9%
・増資に見合った今後の収益向上策=76.4%
・希薄化率や発行価格等の発行条件の妥当性=10.1%
●増資の結果、将来的な株主還元が求められるが、企業の資本コストとして意識されているかという点については、約3分の2が満足出来ないとしている。
 この資本コストに対する企業側の把握は、53%の企業(調査対象1132社)が把握していない現状だが、把握している企業の加重平均資本コストの平均値は約5.8%になっている

増資を実施したら、いつどの様に使い、既存株主にはどう還元していくのか、ということは公募増資を引き受ける証券会社の引受審査でしっかり行っていると思うが、定型的な開示内容で済ますのではなく、株主や投資家に、調達企業の戦略がしっかり伝わる様に助言をしていくのも、市場仲介者としての引受証券の大事な仕事ではないだろうか。

ちなみに、生保協会は上場企業の経営目標の設定・公表に関して以下の提言をしている。
①具体的な中期経営計画の策定・公表及び説明の充実
②目標とする経営指標の設定・公表
③経営計画に沿った適切な資本政策・株主還元の実施

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