*All archives* |  *Admin*

2017/10
<<  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31  >>
知られざるブローカー=短資会社
 連日のブローカー・ネタになるが、ブローカー・オブ・ブローカーズというべき短資会社の実像は余りしられていない。知られていない理由は、関係者が限られ、かつ未公開企業だからだが、短資会社の役割は、市場に於いて非常に重要な機能を果たしている。そもそも短資会社とは何か。
短資とは短期金融市場のことだが、この市場に参加するのは、金融機関・外資系金融機関・証券会社など日本の金融市場の主要メンバーに限られる。この短期金融市場で、取引参加者間の仲介をするのが短資会社で、主要金融機関間のブローカーとして機能している。勿論この短期金融市場は、日銀による金融政策実行(オペレーション)の場なので、日銀との関係も強い。

 短資会社は現在3社あるが、いずれも民間の株式会社で、その沿革を遡れば、其々が100年企業である。
・東京短資(資本金 50億円、従業員125名 ←創業は1909年、柳田ビル・ブローカー)
・セントラル短資(資本金 100億円、従業員167名←創業は1909年、山根ビル・ブローカー)
・上田・八木短資(資本金 50億円、従業員141名←創業は1918年、上田商店)
※各社HPより
 
 収益基盤は、当然金融機関間による短期金融取引の仲介となるが、この短期金融市場での参加者の資金のやりとりの増減がブローカーとしての手数料に大きく影響するので、現在のような“ゼロ金利政策”の継続では、その資金取引量が減少し、主要な売上げである手数料収入も減少する。日銀のオペレーションは別にして、殆ど金利が付かない様な状況下では、資金取引も減少するのは当たり前のことだが、前回の金融危機でも“ゼロ金利政策”(1999年~2006年) “量的緩和策”(2001年~2006年)により短資会社にとってのメイン・マーケットであるコール市場が大幅に縮小し、金利が殆ど付かないことで手数料のマージン率も低下した。

 この時期に、短資会社は、金融機関間の短資資金のやり取り(主にコール市場)で稼ぐビジネスモデルへの変更圧力から、業務の多様化と企業間の統合を模索・実行している。それまで6社あった短資会社は、2001年に現在の3社に統合され、その前後に業務の多様化を図る為に、子会社設立が相次いだ。
元々の顧客層は、大手の金融機関を中心にしていたので、短資会社はその大手金融機関が取引を行う外国為替取引の仲介は、早くは戦前から遅くとも戦後の早い時期から行っていた。その関係で、個人のFX取引を仲介する所謂FX業者として子会社の設立を、この短資冬の時代に行なっている。この部分が、短資会社と個人(リテール)の現状での唯一の接点になっている。その他に、子会社の整備としては、排出量取引や電力取引の仲介を行うもの、国債売買や店頭デリバティブの仲介を機関投資家相手におこなうもの、金利スワップやCDSなどの取引媒介、投資助言業務、債券取引のPTSなど、金融機関間の資金取引とそれに派生するビジネスに留まらず証券市場分野への進出を強めている。

 自らのビジネスモデル存続の危機に、これだけの多様化が図れたのは、長年の蓄積により企業規模に比べて自己資本が厚かったからで、現存する3社の自己資本は、400億円から900億円規模と見られる。決算期がマチマチで、財務数値も非公開なので係数的なものはコメントできないが、短資会社各社の状況は、直近の格付け資料から、以下の様な状況になっている。(格付けは、各社ともA-安定的、R&I:4月15日公表文より)

【東京短資】
リスク管理(金利リスク・与信リスク)を重視した業務運営体制の構築に注力している。与信先の経営状況を審査するため、営業審査部を設置し、収益低迷局面でも厳格なリスク管理方針を維持していく方向。2008年にFX取引事業会社を売却。
【セントラル短資】
規模は最大で、40~45%のシェア(コール市場短資会社経由)を確保している。リスク管理(金利リスク・与信リスク)を重視した業務運営体制の構築に注力している。与信管理を厳しくし、株レポ取引(資金のやり取りを前提にした株の貸借取引)では、取引先の選別を厳格化している。FX取引の子会社は、業界での上位グループに位置する。
【上田八木短資】
リスク管理態勢整備に注力しつつ経営体力に相応しいリスクを取る方針で、オープン市場(主要銀行主体のインターバンク市場ではない)での収益機会を積極的に捉える。子会社のFX取引事業では、2010年に三菱商事フューチャーズからFX事業を買収し規模の拡大を図っている。

 短資会社の本業そのものは、コール市場の縮小・マージン低下で厳しい状況かもしれないが、プロの大手金融機関を相手にしているブローカーだけあって、業務拡大の方向性は金融イノベーションの流れに沿っている。最近は、証券ビジネスと重なる部分も増えてきているが、このブローカーの業務多様化への取組みは証券業界も見習うべきところが多いのではないだろうか。

スポンサーサイト

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

Secret
(非公開コメント受付中)

管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
Re: 就活生です
> 先日短資会社の説明会に行ってきたのですが、正直今だに情報も少なくよく分かりません。
> 就職先としてはどうお考えでしょうか?
私が何かコメントできることではありませんが、短資会社は隠れた金融のイノベーターといった印象を持っています。金融の一部の人を除いて、殆ど何をしている会社か知られていませんが、短期資金や外国為替のブローカーから、FX取引や債券のブローカー業務に拡大しています。ただし、あくまでもインフラ提供が主で、自ら目立つ位置には立たないというのが企業カルチャーのように思います。
業務がら日銀との関係も深く、経営や企画の一部はBOJからの人が中心となっています。
金融の先端に触れて、仕事されたいのであれば、いい環境を提供してくれると思います。

最新記事
カテゴリ
最新コメント
プロフィール

ポーラスター

Author:ポーラスター
2009年1月スタート

最新トラックバック
月別アーカイブ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク
RSSリンクの表示
参考文献
QRコード
QRコード