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2017/06
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日本の金融・資本市場は何を目指すのか
米金融規制法案の成行きを思い、また昨年7月まで金融庁長官だった佐藤氏の“グローバル金融危機と規制の再構築”(日本経済研究所編)という講演会録を読んでいたら、この国の金融・資本市場は何を目指すのか、再び考えさせられてしまった。規制の再構築というのであれば、一般的な捉え方として、規制は厳しくなると思われる。確かに今回の金融危機でグローバルな金融規制改革の流れがある。グローバルな金融当局者の集まりである金融安定化フォームで決定され、G20の金融サミットで報告されたことが、日本でも実行を求められる。しかし、日本には今回の金融危機で問題になった金融機関の高レバレッジ経営や証券化商品の乱造、大量のCDS等店頭デリバティブなどがあった訳ではない。勿論、日本の金融機関に関しては高額報酬など無関係だ。むしろ、証券化商品やCDS等デリバティブの金融商品、金融サービスが欧米に比べて周回遅れとされ、これを追いかける為に、2007年12月に“金融・資本市場競争力強化プラン”が公表されていたはずだ。この政策の遂行で、
○上場ETFは、年内にも100銘柄を超えそうだし、
○昨年6月には、プロ向け市場TOKYO AIM が創設され、
○同一金融グループ内の銀行・証券間のファイアーウォール規制が緩和されて、法人情報の共有と共に、役社員の銀・証の兼業が可能となっている。
但し、これらの改革が実効性のある金融・資本市場の競争力強化になっているかというと、ETF全体の取引量は減少傾向だし、AIMはそのプロ投資家向けの機能が期待され、様々な議論はされるものの未だ上場はゼロ、ファイアーウォール規制緩和では最近の金融行政の風を金融機関等が読んでソロリと対応を始めるに留まる。

 一方、今国会に提出されている改正金融商品取引法では、
●CDS等の店頭デリバティブ取引での、清算機関の利用義務付け(当面は、取引量が多いものに限定)
●店頭デリバティブ取引に関する取引情報の保存・報告義務の導入
●大規模な証券会社に対して、主要株主や親会社に対する行政命令を可能にする連結規制の導入
など、グローバルな金融規制に対応したものが上げられて、これだけなら米国規制の様に市場や取引縮小を懸念する必要もないが、証券業界が受けている印象は、金融危機を潮目に規制強化の方向へ、行政が舵を切ったのではないかという懸念だ。
 実際に金融庁から本年出されているガイドラインや検査マニュアル、TOBや大量保有報告のQ&Aなどでは、報告や提出義務要件が厳格化されているようにも思える。金融行政の厳格化は、時代の流れで、避けられないのかも知れないが、一方でこの国の金融・資本市場の問題も認識した行政を期待したい。

 それは、これから欧米金融機関の機能を追いかける証券化やデリバティブ取引だけではなく、既存の資本市場機能も、この国のシステムが一部制度疲労を起こしているように思うからだ。
●IPO市場の再構築は、業者間では議論されたものの、何か改革は進む気配もなく、アジア他国の新興市場の方が魅力的に見える現状。
●グリーンシート市場がIPO市場の裾野拡大に繋がらず、取扱証券も限定されている現状。
●社債市場は、一部の高格付けの発行体と、大手金融・機関投資家の市場に限定されている状況。
●時価発行増資や社債発行など発行市場は隆盛に見えるが、その恩恵は大手企業と大手金融に限られている現状。
●ベンチャー投資を始め、リスク取る投資を避ける適格機関投資家のあり方
等など
 中国・シンガポールそして韓国の取組みに比べ、この国が、アジアの金融センターとしての地位さえ危うくなると考えるのは、10年先の杞憂だろうか。(勿論、直接の責任は証券・金融にある。)
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