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2017/10
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ニーズの偏在と融合
7日付けの日経で、ブラジル国債とインドネシア株式・ベトナム株式に投資するファンドの募集広告をみて2つの事を思いだした。ファンドの内容は、6割を高金利の債券(ブラジルレアル建て国債)に投資し、4割をインドネシアかベトナムの株式に投資するというものだ。

 一つ目は、この公募ファンドの作り込みが、交換社債と同じということだ。実際の運用は、ファンドマネージャーがどうされるか知らないが、ファンドの運用期間7年で、先ず同期間の高金利ブラジル国債を買う。このブラジル国債の利金や償還金でインドネシア株式かベトナム株式のコール・オプション(株式の購入権利)を買っていく。この場合、元本はブラジル国債で確保され(但し、レアル建て)株式の上昇があれば利益となるが、基本的には転換社債(今は、新株予約権付社債≒交換社債)と同様の仕組みだ。実際は投資効率を上げる為に、ブラジル国債の利回りを先に割り引いた部分で、株式若しくはそのコールオプションに投資するのだろう。

 2つ目に思いだした事は、連休中に読んだ“巨大投資銀行”(著者:黒木亮)という本で取り上げられていた裁定取引の事だ。本の内容は、バブル発生から20年以上に渡る期間の投資銀行(日本でいう外資系証券)の成長と、そこで働く日本人達の生き様を描いたものだが、ファイナンス・M&A・証券化など、かっての仕事とその時の事件を懐かしく思い出しながら読ませていただいた。その中で、主役の一人に元ソロモン・ブラザーズ(現シティグループ証券)の明神氏をモデルにした人物がおり、様々な裁定取引で米系投資銀行の実質的トップに上りつめていく。当初は、国債の各銘柄間の利回り格差に注目した裁定取引から始まって、国債買い日本株売りの裁定取引、仕組み債の巨額な積み上がりを見越して株式や為替のノックインを目指した裁定取引、などを駆使し、巨額の利益を上げていく。この場合の裁定取引の意味は、単なる金利のさや取り=アビトラージではなく、異なるニーズの偏在に対して、その状況が何れ解消される前提で、人より早く、そして巨額(レバレッジを掛けて)に取引していく自己売買を指す。今だとヘッジファンドでは当たり前の事だが、この裁定取引の考え方は他の投資銀行にも取り入れられ、投資銀行そのものが巨大化していく原動力になる。そして、ヘッジファンドも、この投資銀行の裁定取引部門の人々を中心に組成されてきた。冒頭の公募ファンドも、この裁定取引の考え方を前提に、異なる投資ニーズを融合したものだ。

 投資ニーズの偏在に関して、第一生命経済研究所は最近のレポートで株式と商品(コモディティ)の事を取り上げている。これによると、リーマンショック後2008年末からの市況の上昇率は、
・ロシア RTS指数 +155%
・アルゼンチン メルバル指数 +120%  など新興国が高いが、先進国は、
・日経平均 +27%
・NYダウ +25% と総じて低い。 一方商品市況は、
・銅 +155%
・鉛 +121%
・原油(WTI) +90%
となっていて、新興国の成長に起因する価格上昇と見られている。
(同期間のMSCI世界株指数は、+37%。対するJOC商品指数は+83%)

これに対する投資ニーズも偏在していて、先進国と新興国、株式と商品、とある。其々の偏在したニーズを融合するのは、昔は投資銀行の裁定取引、今はヘッジファンドなのだろうが、最近は個人投資家も活用出来る仕組みが整備されつつある。例えば、冒頭のファンドの様に異なる投資ニーズを融合した公募のファンドも出来てきたし、商品先物指数のETF、CFD取引でレバレッジを掛けて取引することも可能になっている。また、日本国内での商品先物投資に関しては、商品取引法の改正が行われ、本年7月から商品取引所・証券取引所間の相互乗入れが可能となり、総合取引所に向けた動きが出る可能性もある。
 この様に道具建てとインフラは整いつつあるが、これらを投資家に向けて使いこなす市場仲介者=ブローカーの能力の方が、今問われている事かもしれない。
(商品取引法は、来年1月に“商品先物取引法”に改称され、個人投資家に対して不招請勧誘規制が導入される。ブローカーも、商品先物取引業者として認可制になる。)

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