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2017/11
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また銀行の公募増資なのか
ギリシャ危機が何とか収まりそうな中、メガンクのファイナンスが伝えられ、再び昨年後半に大量の公募増資の影響で、日本株だけ地合いが悪かったことを思い出すような11日の株式市場だった。5月中旬に差し掛かった現在、6月末の株主総会集中期間が終わると、再びファイナンス・ラッシュの懸念を生じさせるような今回の銀行ファイナンス報道だが、市場のイメージは標題に近いものがある。それは、銀行の公募増資に対して、幾つかの不信感があるからだ。

 一つ目は、公募で調達する資金が本当に必要な資金なのかということだ。金融機関の自己資本比率規制から、資本調達の必要性について、投資家は制度として理解しても、株主としては承服しがたいのは、3割以上の希薄化を生じる公募増資で調達した資金が、まさか低利回りの日本国債を買い続ける資金とならないだろうかという懸念だ。確かにお金に色はないが、銀行の公募増資は、その資金使途をより明確にして、株主や投資家に示す必要があるということを、グループ内に証券会社を持つメガバンクは理解する必要がある。

 二つ目は、公募増資のタイミングの問題だ。これは普通の企業なら一つ目の問題と重なるが、金融市場からの調達が可能な銀行にとって、緊急の資金としての資本調達の意味は無い。そうすると、銀行グループ全体としての資本政策のかじ取りといった難しい話になりそうだが、何故今のタイミングなのかということを株主や投資家に示す必要もある。その際、現在の自社株価に対する銀行の経営者としての判断も求められるべきだろう。通常の公募増資の場合、引受証券はエクイティ・シナリオを求めるため資金調達後の企業の業績予想を精査する審査を行うが、その他に株価審査といって公募増資時点での株価形成が問題無いかチェックする。銀行は、金融・資本市場のメインプレーヤーとして、自らの増資の際には、自らの株価形成に関する考え方を開示すべきではないだろうか。

 三つ目は、銀行のファイナンスに関して、情報の偏在があるのではないかとの疑念だ。確かに、メガバンクなら常に資本増強のニーズはあるのでいつ増資してもおかしくないと考えるのは一般的だろうが、その増資タイミングが2ヵ月先なのか2年先なのか、この事は投資判断に大きく影響する。大企業の大量公募増資の場合、グローバル・オファーリングといって国内・海外同時公募が前提になるが、海外投資家の大口需要を確認したがる引受証券のソフトヒアリング(事前需要調査)によって、公募増資公表の相当前から増資情報が一部海外投資家に伝わっている可能性がある。この情報の偏在を利用して、銀行株を借入れ、増資発表の相当前から売却するようなローテクは、今は行われていないと信じたいが、前回の金融危機後の日本の金融機関の優先株による資本調達の際、普通株への転換条件(下方修正)を巡って、大量に銀行株を売っていた海外ファンドの姿が思い出される。

 以上の不振感を払拭していただく方法として、一つ目は増資に関する開示情報の徹底で、特に資金使途とその前提となる企業価値向上策を可能な限り開示すること。二つ目は普通株による増資が必須なら、その増資方法の工夫が必要だ。
特に増資方法の工夫は、本来なら引受証券が行うべきだが、メガバンクが日本の資本市場機能の主な利用者であること。また、グループ内の主要な証券会社においては、相当の市場仲介機能があることなどから、メガバンク自らのファイナンスにおいて、ライツ・イシュの様な取組みを率先して実行して欲しい。
 既存株主への負担が少ないライツ・イシュは、タカラレーベーン増資で4月から取引が行われているが、取り扱う証券会社数が少なく、また権利行使の条件等(投資家の支払うコストなど)がマチマチで、投資家にとってもまだ使い勝手が良くない。確かに証券会社としては、新たにライツ=東証に上場された新株予約権の取引システムが必要なのと、ライツの権利行使の際の取扱規定の整備が求められ、これに対応していない証券会社が未だ多い。大量に株主を抱えるメガバンクの増資にこのライツ・イッシュが利用されれば、証券会社側の整備も一気に進み、株主に優しい増資方法として日本でも確立するだろう。

 銀行の増資に期待したいのは、日本の資本市場機能改善に役立つ取組みで、自ら大手証券や外証を率先して、日本の金融・資本市場のインフラ整備に貢献していくことだ。その事は、メガバンクが目指す日本型投資銀行のモデルになっていくのではないだろうか。

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