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2017/11
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しっかり投票しよう議決権
 上場企業の総務部は、今6月下旬の株主総会準備に向けて大わらわ時期だが、この3月期決算会社からディスクロージャー・ルール(企業内容の開示に関する内閣府令)改正により、株主総会での議決権行使結果の開示を、上場会社は行わなければならない。
 この議決権行使結果の開示は、欧米でも進められており、米国では昨年末のSEC規則改正により、株主総会終了の4日営業日以内の報告が求められ、英国やEUでも賛成・反対・棄権の票数まで含めてインターネット上で開示することが法制化されている。

 日本での議決権行使結果の開示は、臨時報告書の提出によって行われるが、決議事項ごとに賛成・反対・棄権の数を議案の可決要件とともに開示するか、若しくは株主総会出席者の議決権を参入しなかった場合は、その理由を開示する必要があるという構成になっている。実際の集計作業は、株主総会前日までの議決権行使結果は株主名簿管理人が行い、株主総会当日の集計に関しては、厳密な投票の集計を行っていない会社が殆どとみられ、この6月総会より株主総会会場での投票集計対応が求められる。企業の総務担当者にとっては相当の負担増になりそうだが、敢えてこの票数の開示まで求める背景は、昨年6月に公表された金融審議会スタティグループ報告“上場企業等のコーポレート・ガナバンスの強化に向けて”にある。この報告によると、“株主に対する説明責任を果たすという観点から、上場会社等においては、各議案の議決結果について、単に可決か否決かだけでなく、賛否の票数まで公表するのが適当であり、法定開示及び取引所ルールにより、ルール化が進められるべきである”とされている。

 コーポレート・ガバナンス強化も、本年導入される独立役員(東証ルール)、この議決権行使結果の開示と進んできたが、このグローバルな潮流の発端は、米国のエンロン事件だったことを思い出す。米国では、金融危機後の今、再びエンロン事件を見直す動きがあり、ブロードウェイでも取り上げられていることが伝えられている。米国でのコーポレート・ガバナンス強化については、有名なSOX法(サーベンス・オクスリー法)の制定、取締役の独立性要件の強化、監査委員会の機能強化、内部統制の強化と行われてきたが、ミューチアル・ファンドや投資顧問業者に対する議決権行使方針及び行使結果の開示を求めるところまで進んでいる。

 日本においても、投資信託協会は会員の投資信託委託会社に対して議決権行使結果の開示義務付けを求めているが、これは投資家からの受託者責任を果たし、投資対象の上場会社の行動を適切に規律づけることを狙いとしている。また、投信委託会社が金融グループの系列で、企業への営業上の配慮などで白紙委任を行うような行為を防ぐ。ちなみに、昨年度の議決権行使で投信委託会社の反対投票が多かったものは以下のようになっている。(数字は、反対等使比率)
・退職慰労金支給  24%
・新株予約権発行  22%
・監査役選任    20%
・資本政策に係るその他の会社提案  17%

これら機関投資家の議決権行使を促進するものとして、2006年より東証や証券業協会の合弁会社で運営される機関投資家向議決権行使プラットフォームが開始されているが、企業のコスト負担が必要な為、未だ参加企業数は371社と、上場企業の1割にしか過ぎない。一方、企業の電子投票制度は3月末で612社と、これも上場企業の16%に過ぎないことが報じられている。
東証は6月から株主総会の招集通知をネット上で公開するが、議決権行使促進に向けたインフラ整備は整いつつあるように思う。現在の問題は、それに伴う企業側のコスト負担(機関投資家向議決権行使プラットフォーム、電子投票システム)とされているが、今後企業側が株主総会で集計する手間やコストを考えるなら、本当のコスト面での選択肢は決まっている。

 投資家が、企業価値向上の為のコーポレート・ガナバンス強化に協力していくのは、しっかり投票することだ。
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