*All archives* |  *Admin*

2017/06
<<  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30  >>
再考:総合取引所構想=現状
 前回は3年前に提言された総合取引所構想の背景を語ったが、その後3年経過した現在、何が実現されていて、何かまだなのか、この事に関して振り返ってみたい。
 総合取引所構想を含む市場強化プランの中には、今思えば多少行き過ぎではないかと思われるものも含まれていたように思う。例えば、ロンドンのシティやニューヨークのウォール街の様に、世界各国から金融の専門家が集める事を目的として、彼らの生活が支障ないよう金融機関の集積しているエリア(丸の内・大手町・赤坂・六本木など)から近い場所に、英語で生活可能な居住空間を整備しようとする“東京金融特区構想”。また、ファイナンスやM&Aでの金融・資本市場の専門家として、上場会社のCFOまで想定して、金融の専門的スキルを習得させる資格制度“金融士”(弁護士や会計士の金融・資本市場版に近いイメージ)などがあった。勿論、これらは広い意味での市場インフラなので、整備された方が良いとは思うが、肝心の市場インフラそのものへの取組みは、現在まで以下の様なものがある。
① 証券取引所と商品取引所の相互乗入れ(子会社化)が可能なような法整備
② 東証とロンドン取引所合弁によるプロ向け新取引所TOKYO AIMの設立(2009年6月)
③ 商品関連ETFの上場
④ 排出量取引所設立準備会社を東京証券取引所と東京工業品取引所の合弁で設立(2010年4月)
⑤ 店頭デリバティブ清算機関設立に向けた検討
⑥ ジャスダック市場とヘラクレス市場の統合(2010年10月)を控えた大阪証券取引所の“総合取引所”構想への取組み

 ①については取引所は元々許認可業務なので、証券は金融商品取引法、商品は商品取引所法によるが、それぞれ議決権の20%以上保有制限(国の認可が必要)と50%以上の保有禁止条項があった。これを国が認めた場合、取引所間で相互に乗り入れが可能なように両方の法改正を行い、本年7月より一方の親会社になることが可能になる。

 また②のTOKYO AIMの設立は、海外取引所との合弁でプロ投資家(特定投資家)向けの取引所を開設した画期的なものであったが、残念ながらまだ取引が開始されていない。しかし、IFRSを使った英文開示だけでも済むということから、海外企業・発行体の取り込みなども、取引所の戦略目標としている。マスコミには、アジア向けインフラファンドの上場などが取り上げられたが、その他にもアジア企業のJDR(Japan Depositary Receipt:日本での海外企業株式の預託証券=円ベースで海外株式が取引可能) 、東南アジアでの合弁企業の資金調達、未公開企業の子会社株式やトラッキング・ストックなどの上場、私募ファンドの取引など、一般の投資家には扱い難い商品の上場も検討されているようだ。

 ③に関しては、東証は現在88銘柄のETFを上場しいているが、そのうち19銘柄が商品ETFとなっていて、商品現物若しくは商品先物指数に連動する。ETFで期待されることは、投資ニーズの多様化に応えるとともに、原市場がETF取引のカバー取引増加によって活性化することだ。その意味で、商品ETFは証券市場と商品市場のリンケージとして期待されている。但し東証の商品ETFは、海外商品市場の指数に連動する。一方、大証の商品ETFでは、東京工業品取引所の金と白金指数に連動するETFが上場されているが、経済産業省のアセット会社への働きかけなどがマスコミに報じられている。

 ④に関しては、国内での排出量取引制度の枠組みが定まらなければ、取引所システム構築は現実的でないというのが一般的な意見だろうが、東京都の排出量制度が4月から始まったことや国際的な排出量取引である京都ユニットの取引仲介を目指して双日子会社が取引所開設(5月からか)を公表している。欧米での排出量取引実態を見ると、石炭や天然ガスなどの鉱物資源、電力などのエネルギー取引などと関連しているので、日本での取引においても、同様の視点が必要だし、その取引を支えるインフラ(法制度も含めて)整備が期待される。

 ⑤の清算機関設立は、グローバルな金融危機対策に応じたものだが、金利スワップ・CDSの国内での清算機関整備は、同時に店頭デリバティブ取引の取引所化対応を進める可能性がある。つまり、通常とは逆に、先に清算システムが整備されてしまえば、後は取引をマッチングするような電子取引システムを、PTSや取引所として作るが容易になる。

 ⑥は、直接には新興市場統合なのだが、大証トップの考えとしては、取引時間延長やシステム強化などを行うデリバティブ取引機能強化と併せて、総合取引所構想へ向けた一歩としての意向が、年初伝えられている。
 
この様に部分的に資本市場の最近の動向をみるなら、現状、総合取引所構想が何らかの形で進んでいるとも言える。
スポンサーサイト

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

Secret
(非公開コメント受付中)

最新記事
カテゴリ
最新コメント
プロフィール

ポーラスター

Author:ポーラスター
2009年1月スタート

最新トラックバック
月別アーカイブ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク
RSSリンクの表示
参考文献
QRコード
QRコード