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2017/08
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面白みはないが、圧倒的なリテール力
 当然野村のことだが、本稿は投資判断を提供するものではないので、詳細な分析は証券業界のアナリストを頼りたい。ここでは開示されている決算説明資料を基に、現場でのリテール戦略を考えてみたいと思うが、先に競合する大手証券A社を取り上げた。(5月10日“証券リテールの現場で”)このA社が、リテール現場で最も販売していたものは外債であったが、野村の場合はやはり投信の販売量が半数近く占める。この野村の投信販売力が圧倒的なのだ。
 野村のリテール現場での販売力は、昨年度月間ベースで平均1.13兆円の金融商品を販売しており、そのうち5000億円(月間)近くが投信だ。この投信販売額は、野村の資料によると国内の新規設定投信募集額シェアの50%を占め、他社を寄せ付けない。(投信販売量2位のB社は15%、A社9%、C社6%、その他は20%)

 標題のように面白みのないといったのは、リテール戦略についてだが、これだけ圧倒的なシェアを確保してしまっては、取るべき戦略の自ずと限られてくるのだろう。今期のリテール部門での施策は、富裕層相手のコンサルディングでは、
・継続したセグメントの徹底と本社サポート機能との協働による解決策の提供
・お客様ニーズの把握とビジネスを創造・実行できる人材育成と体制整備
といった、ソリューション営業とそれを支える態勢整備。富裕層以外の一般投資家への対応は、コールセンターとネット活用を強化して、
・非対面のお客様のコンサルティング・ニーズ発掘と営業店の連携強化
・ネット機能拡充による顧客拡大と一層のコンサルティング営業の充実
を進める。そして、当然のコストカットについても、
・IT基盤のより効率性を目指した体制整備
・バック業務の集約化に依る「コスト削減
を上げている。読んでいただいた方には恐縮だが、この様に特に新鮮味もなく、このまま他社のリテール戦略としても十分通じる。

しかし、圧倒的なシェア以外にも注視すれば、他社と異なる対応も見えてくる。野村の顧客基盤は、この3月末で488万口座(残高あり)と預かり資産73.5兆円だが、月間べースの資産純増額は、約1400億円で、金融商品販売額の8分の1に過ぎない。つまり、投信や公募株を購入しては、次の金融商品に乗り換わる顧客資産の動きが見えてくる。一歩間違えば、金融商品の回転販売と批判されかねないが、これを営業現場で支えるのは、顧客への資産運用に対するコンサルティング営業と豊富な商品供給力ということになる。

先に紹介した月間の1.13兆円の金融商品販売のうち、約4000億円は株式の公募売出しだが、昨年度の高水準の公募増資と野村の高いシェアによる数字で、この部分では同業他社はなかなか追いつけそうにない。しかし、主要な金融商品である投信販売においては、何も野村だけが商品調達力に優れているわけではない。(野村アセットの昨年度業界シェアは20%程度、つまり野村で販売する投信の6割程度が他社系列の運用会社ということになる。)これだけ野村の投信販売シェアが高いのは、タイムリーなテーマを決めて現場で一気に販売を進める営業推進態勢だけではなく、投信の乗り換えも顧客の意向に沿って問題無く行える営業管理体制が整備されていることがある。その為には、顧客への資産運用コンサルティングが投信販売においても必要ということになるが、詰めて言うと顧客に一旦販売したものも、利喰えるとことはちゃんとアドバイスでき、それがコンプライアンス管理されていることだ。

 野村の圧倒的投信販売シェアを許している同業他社も、単に投信残高増加を指向するだけではなく、顧客ニーズを把握しながら販売方法に関して工夫していく必要があることを実感して欲しいリテールの現場である。
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テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

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