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2017/09
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DC(確定拠出年金制度)の悩み
 証券や金融機関などの業界からみて、個人口座に毎月一定金額が積み立てられ、それが投信などの金融商品に投資され、かつ非課税で何十年も運用することが可能で、更に企業毎纏まってその口座を獲得する事が出来る。確定拠出年金制度は、この様に金融機関にとって期待の高いものであったが、既に制度が導入されて8年を経過し、この2月末で350万人(企業型339万人、個人型11万人)が加入している。また、今国会には年金改善法案が提出されていて、この確定拠出型年金に関しても以下の改革が行われる。
・企業の拠出限度額の枠内(2万5500円、他の企業年金がない場合5万1000円)で、 従業員拠出(マッチング拠出)を可能とし所得控除の対象とする。
・ 事業主による従業員に対する継続的投資教育の実施義務を明文化する。
・ 加入資格年齢の上限を引上げる。(60歳→65歳)【以上3つは、平成24年4月1日から】
・ 住基ネットからの情報取得を可能にする。(他の企業年金制度も同様。)【平成23年4月1日まで整備】
年金制度そのもののあり方や、この数字が多いか少ないかという議論とは別に、現在、この確定拠出年金制度に参加する者は、其々の立場で悩みを抱えている。

≪導入した企業の悩み≫
 企業型の確定拠出年金制度を導入した企業数は、この3月末で12902社と更生労働省の公表に依るが、制度導入企業に対する調査では、制度の運営・管理の状況に関して約55%が不満をもっている。また、その不満の要因となる制度運営上の課題や悩みにつき、次の項目は半数以上の企業が上げている。((社)企業福祉・共済総合研究所による企業型確定拠出年金の制度運営に関する調査より)
・社員間で制度や資産運用に対する理解・関心のバラツキが大きい
・社員の確定拠出年金制度に対する理解・関心が低い
・投資、資産運用に対する理解・関心が低い

≪制度加入者の悩み≫
 制度加入者の平均的な資産運用配分は、57%が元本確保型商品、43%が投信等とする企業年金連合会の調査もあるが、加入者側の情報提供に対する不満も多くあるようだ。別の調査によると、提供される商品や制度などの説明資料や説明会対応に関する不満、運用アドバイスに関する不満など、利用者側の制度説明や投資情報利用に関する不満は大きいが、同様の項目を制度提供者の企業側が、利用者の理解・関心不足としていることから、従業員側・企業側の認識ギャップは大きい。
 また加入者側に十分な資産運用に関する関心や理解があったとしても、この制度の実際の実務を行う運営管理機関に対して、以下の様な不満がある。
・運用商品メンテナンス (少なくとも、投信の品揃えは殆どが不十分で限定され、現状では投資ニーズに合致し難い)
・商品乗換えの不便 (商品間の売却・購入が時差なく執行されておらず、またその説明情報も不十分)
・運用商品に関する情報不足(投信の目論見書や運用報告書の整備が不十分、パフォーマンス情報を偏重し、その解説が不十分)
・運用管理機関機能の機能不足 (コールセンターのキャパ不足や、制度や商品説明者の不足、ネット機能の勝手の悪さ)

≪制度のインフラ提供者の悩み≫
 350万人の制度加入者の口座を管理する運営管理機関は197社あるが、相当部分が年金資産を運営する金融機関と重なっている。この運営管理機関のうち6社ほどが、レコードキーパーとして他の運営管理機関の実務作業を殆ど代行して行っている。先に制度加入者の悩みの欄で上げた運用管理機関への不満は、このレコードキーパー機能の不足によるものだ。レコードキーパーは、金融機関間の合弁で設立されているが、民間企業なので加入者の利便性を高めるためのシステム投資に現状では限界があるのかもしれない。しかし、ネット証券での何百という投信の品揃えがされている現状を思うと、せめて金融商品の品揃えへの努力は悩まないで実施して欲しい。

 以上、確定拠出年金制度への期待とは裏腹に、各制度参加者の悩みは尽きないが、加入者が一ケタ増えれば問題は解消するかも知れない。従業員への制度・投資教育を率先して行う金融機関は増加し、加入者への情報もインターネットを利用して多彩なサービスが提供され、そして運用管理機関も収益性のあるビジネスに変貌していく。それは、年金制度改革に期待するべきことなのだろうか。
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