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2017/06
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はじめてのライツ・イシュー=結果は?
 日本における最初のライツ・イシュー“タカラレーベン第1回新株予約権”の払込みが先月末で終了し、46億円の資本を調達した。この資本調達方法は、新株への払込みの権利=新株予約権を、株主全てに付与し、新株への払込みを株主へ促する事で資本を調達するもので、株主割当増資(嘗て銀行などが行った中間時価発行増資もこの方法の一つ)のことだ。今までの株主増資と異なるのは、この新株への払込みの権利を新株予約権として上場することで、株主や投資家側の売買や権利行使の選択肢が拡がり、その結果、資本調達をスムーズに行う方法として期待されていた。この3月末の株主に割当てられたタカラレーベンの新株予約権は、95.7%が行使され、冒頭の資本調達となった。調達した資金は、本年度の新築分譲マンション事業・中古再販事業・買取再販事業の為の物件取得資金に充てられる。
資金調達面では、発行会社としてまずまずの成功で、この様な新しい取組みに尽力された関係者の方々に敬意を払いたい。(取引所に新しい商品を上場させること、また新しい商品を証券会社等が取り扱うのは相当に大変な労力とコストを伴う)

 この初めてのライツ・イシューに関する推移は次の様になる。(以下の株価は終値ベース)
・3月5日、3月末の株主に対して日本で初めてのライツ・イシューを実施することを公表(株価:457円)ライツとして発行される新株予約権の行使価格は300円。1株に対して1株の払込みの権利。この新株予約権は、東証に4月1日から5月24日まで上場され、権利行使期日が5月31日まで。株主の疑問に対しては、Q&A方式で回答を公表。
・3月16日、Q&A方式の追加を公表。
・3月18日、新株予約権の上場日程の公表と、権利行使の手続きを5月28日まで証券会社等で行う必要について公表。
・4月1日、注目のライツ=新株予約権が上場され、初値は70円、100円まであって、安値は69円、終値は80円、出来高は20万500株分。(同日の株価:404円←行使価格との差額は104円)
以後、新株予約権は5月24日まで上場され、高値は4月27日の215円(同日の株価:520円←行使価格との差額は220円)、安値は5月24日の3円(同日の株価:323円←行使価格との差額は23円)、取引された総数は360万8100株分で発行数の20.5%となった。
・4月20日、2010年3月期末の業績の上方修正で、利益関係を約1割アップ。
・4月26日、「継続企業の前提に関する重要事象等」の記載(決算短信ベース)を解消することを公表

 以上の様な結果に終わったが、既存株主に優しい増資方法として期待されるライツ・イシューだけに、顕わになった問題点についても指摘しておきたい。

【ディスクロージャーと時期】
 ライツを付与され、取引所で売買する時期に、重要事実の公表が相次いだ。ライツの上場と行使の時期が決算発表時期と重なり、その間にライツの売買・行使に関して株主や投資家は判断しなければならない。せっかく付与日翌日から売買可能でも、結局決算発表なの重要事実が出切らなければ、既存株主は売買し難いという事が認識された。また、発行会社側の対応としてQ&Aが公表されているのはライツ・イシューに慣れない株主にとって好ましい事だが、経営者であり筆頭株主の権利行使に関する記載を敢えて行った意図がよく分からない。(公表によると既存保有株を売却して、新株予約権の一部または全部の払込みに応じるとしている)

【証券会社での扱い】
 正確には数えていないが、このライツ・イシューの取扱い証券会社は概ね全体の3~4割程度ではないだろうか。この株式は東証1部上場で、証券会社ならどこでも取り扱えるが、東証での新株予約権市場への証券会社としてのアクセスを準備していなかったり、新株予約権の権利行使の手順などを整備していない証券会社が多くあった。この事は、証券会社サイドがライツの取引の為の新たなシステム負担を嫌った面があるのと、権利行使の為のコスト対価(株主分)をどうするか発行会社サイドで決定していない為と想定される。権利行使のコストに関して、結局、証券会社毎に株主からコスト負担を求める方式だった。今後、ライツ・イシューの拡大に為には、権利行使コスト負担は、発行会社が1~2%程度でも決定して、証券会社へ支払う方が良いのではないだろうか。

【流動性確保の為の努力】
 ライツ・イシューを成功させる為には、付与を受けた株主や投資家が行う様々な投資判断に対応できるように準備すべきで、その為にはライツ=新株予約権の流動性の確保は必要最低条件だ。今回のライツ上場期間中に、信用取引での売却は実質的に行えない状況が続いていたが、ライツそのものの流動性を高める為には、新株予約権と貸株の裁定取引を活発に行えるよう、貸株への対応は十分配慮すべきだったのではないだろうか。

 以上の3点は、今後のライツ・イシューの拡大に期待したい筆者の小言である。

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第4節 日本で流行するか、ライツイシュー エクイティファイナンスの手法として、日本では公募増資が大半を占めており、第三者割当増資をたまに見かけるという感じです。その大半を占める公募増資に対して、既存株主の不満をよく耳にします。現実の世界で起きていることは、理論的背景はどうであれ、公募増資->株価下落、発行される新株の数が多いほど1株当たり利益の現象度合いが大きくなり、より株価も下落するのです...
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