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2017/09
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フラッシュ・クラッシュ
 5月6日に米国株式市場で起きたフラッシュ・クラッシュ=瞬時の急落は、金融危機からの立ち直りに取組む市場関係者の肝を充分に冷やものだった。この日の株式市場は、ギリシャ危機の影響で欧州から下落していたが、米国でもじり安となり14時40分までに400ドルを超す下げになっていた。問題はその後の20分に起きた株価の急落と急反発だが、14時47分には1000ドル近い下落、その直後の500ドル以上の反発で、16時の取引終了時間には348ドルまで回復した。この日の株式市場の動きを指して、フラッシュ・クラッシュという言い方が定着しているが、急落過程で株価1セントというような最低価格での取引が多数成立していた事に対して、ナスダックは14時40分の価格から60%以上乖離していた価格で成立していた取引を取り消す事を公表した。この原因に関して、当初は主要銘柄で個別に急落したP&Gや3Mの取引への誤発注、株価指数先物でのシステム売買でのストップ・ロス取引、果てはサイバーテロ説までその原因説が出ていたが、5月18日に米SECとCFTC(商品先物取引委員会)の中間報告書が公表され、以下の様な取引状況と原因の検討が示されている。
●上場銘柄7878の内、問題の14時40分から10%以上下落して取引された銘柄が、全体の14%に及び、更に約200銘柄は100%近い下落(つまり最小取引1セントに近い)
●問題の20分間の取引で、取引件数ベースではこの間の取引量約713万件のうち70%の501万件が下落しているが、30%の212万件分は上昇している。株価が100%近く動いたものは、下落で11510件、上昇で1205件。
●原因の特定には至っていないが、次の影響を上げている。
・株価指数先物やETFの下落に対して、個別株式への売り注文が同時もしくはやや遅れて出されているが、両者が連動している可能性。
・著しい低価格での取引は、電子的取引でのマーケット・メーカーの機能停止、ストップ・ロス取引注文など成行き売り注文による。(流動性のミスマッチ)
・取引市場間の取引慣行が異なる影響が、流動性のミスマッチを悪化させた可能性。(例えば、一方にサーキットブレーカーがあって、その他注文を転送される取引所にない場合。注文執行や価格表示の反応スピードが異なるケース等)
・マーケット・メーカーが売りと買いの気配を同時に提示する必要から、下落時に極端にその幅が拡大した気配値を提示するSTUB QUOTEの利用。
・成行注文、ストップ・ロス取引のアルゴリズム的連鎖が市場の不安定化に影響した可能性。
・ETF取引では、著しい取引取消が発生していたこと。

 この報告書の公表と共に米SECは、全米の取引を対象とする新たなサーキットブレーカー制度の導入を公表している。その内容は、S&P総合500種指数を構成する銘柄を対象にしており、ある銘柄の価格が5分間に10%以上下落した場合に、取引を5分間停止するものだ。制度の導入は、12月10日まで試験ベースで行われ、市場全体に関するサーキットブレーカーも「再調整」が検討される。
 問題の背景には、超高速取引に対する米国での政治的反感もあるようだが、全米に約40ある取引所や私設の電子取引システムが一つの巨大な取引ネットワークを形成し、株式の流動性付与に貢献しているのは米国資本市場インフラの強みであることも事実だ。その姿を追う日本でも、本年の東証arrowheadが開始され、今後の超高速取引本格化が期待されるが、アルゴリズム取引やコローケーション・サービスによる取引と通常の取引ルールの同一性を確保していく工夫や、取引の透明性の確保が必要なのだろう。但し、角を矯めて牛を殺すことないように願いたい。(金融イノベーションの遅れている日本では、規制より、先ず取組みが先行して欲しい)
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