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2017/09
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資本市場における情報提供のあり方
 結論は明らかである。“適時、簡単、明瞭”これが資本市場での情報提供のあり方の全てである。ちなみに、情報提供は誰の事を想定しているかというと、金融機関の審査部の方でも、会計士などでもなく、市場の一般の参加者を想定したもの、つまり公表ベースのことである。

 しかし、実際の資本市場における情報提供は、そうでないことが多いので、改善を求められたり、情報提供のあり方を再検討することも最近多くなっていると思う。市場関係者としては、自らの文章においても、上記原則の簡単・明瞭は肝に銘じなければならないが、これに反するような文章は、MBOに関するものに多い。特に失敗と言われるようなMBOでは、まるで悪文の見本のようなものがある。この悪文は、会社側(経営者でMBOの主体者、もともと一般株主とは利益相反する)の言いたいことに、弁護士が法的リスクを避けようと手直しした結果だと思われるが、普通の株主は、多分会社側の言いたい事の半分も理解できないのではないだろうか。

 反対に簡単すぎて問題なのは、銀行グループのファイナンスでの資金使途の記載だ。子会社銀行の増資資金にするというのは、確かに簡単明瞭だ。しかし、3~4割も希薄化をする増資で、株主が知りたいのは、それも押してまで増資する資金の前向きな使われ方であり、株式を保有し続ける明るい材料だ。その期待に結果応えられるかどうかは確かに分からないが、株主の鼻を木でくくるような記載はいただけない。

 また、資本市場に関する数字のあり方も、いろいろと使う立場で問題がありそうだ。例えば、公募増資の場合、当初1000億円の増資だと公表されるが、値決めまで1割株価が下落してしまい、かつ5%デスカウントなので、850億円の増資になったかと思いきや、この中で50億円分は引受証券会社が手数料としてとるので、会社側は800億円の増資ということになる。(投資家からは、850億円集めている)
結局、1000億円増資を計画していたが、800億円の増資で終わったということになるが、実際の増資統計では、更に以下の様に複雑になる。
 800億円のうち、600億円が普通の公募、200億円が所謂グリーン・シュー・オプション(主幹事証券に、第三者割当増資の形で割り当てる新株の追加発行請求権)であれば、本来は株主や市場からみて800億円の公募増資のはずが、統計上は600億円の公募、200億円の第三者割当ということになる。更に、国内と海外で同時に募集を行うグローバル・オファーリングの場合、この事例で、国内・海外がそれぞれ半数の時は、最終的に増資統計上は次の様に集計される。
国内公募増資:300億円、海外公募増資:300億円、国内第三者割当100億円、海外第三者割当100億円(合計は確かに800億円の増資だが、850億円支払った投資家からみると随分細分化された統計になる。※実際は、これほど乖離するケースはない。)

 上記のケースは、増資の実態と統計方法のミスマッチに見えるが、増資方法が進化しているのに、統計方法が昔ながらだと、この様な実態を現わさない統計数字が出来てしまう。

 この様な資本市場に関する統計数字の問題は、実は業界では古くから指摘されており、証券や金融機関の商品部門や企画部門は、自ら人手をかけ集計し直すか、データー集計会社の統計を活用していた。しかし、協会等が公表する統計数字は、一般投資家が無料で入手できる唯一ものだ。せっかくある資本市場の統計を個人を含む投資家が活用できるよう、その見直しが始まった。6月2日、日本証券業協会より“金融・資本市場統計の整備に向けた具体的な課題・取組について(中間整理)”が公表されているが、来年の10月を目途に、統計方法の見直しと提供するポータルサイドの整備を行う。実効性にある取組みを期待したい。
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