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2017/07
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懐かしいファイナンス規制
 まだ若かりし引受マンの時、大蔵省企業財務課の薄暗い廊下に並べられていた椅子に、徹夜で仕上げた審査資料を抱えて座っていたことを思い出した。その時代は、バブル時の大量エクイティ・ファイナンスの弊害を規制する名目で、公開企業のファイナンスに対する行政指導が規制として残っていた。利益計画から増益予想の実現性・資金使途の現実性・増資後の株主還元策等、一通り財務官に説明し納得してもらわなければ、その後の有価証券届出書が受け取ってもらえず、結果としてエクイティ・ファイナンスが出来なくなる。そんな時代だったが、1990年代半ばにはファイナンスに関する規制は殆ど無くなってしまって、現在に至る。

 2000年代に入ると旧商法や会社法で、資本政策に関して柔軟な取組みが可能となり、取締役会決議で対応できる範囲も拡大した。その事の弊害として、大規模なファイナス・買収防衛策・MBOなどコーポレート・ガバナンス強化の命題になっていることも多い。昨年は、公募増資が5兆円を超えバブルピーク時の水準に近づいた。発行済み株数が一度に3分の1以上増加するファイナンスも多かったが、問題は大規模な第三者割当でも顕在化している。例えば、TOB規制なら3分の1以上取得する場合は、TOBに依らなければならないが、第三者割当だけなら株主に諮ることなく突然拒否権を保有する新株主ができることになる。又、大規模な第三者割当に絡んで、増資の取消や未払込みも発生し、株価操縦的行為と見られることも多発した。

 市場からみて規制は無い方が良いが、しかし時として市場の暴走や偏向は起こり得るので、出来れば自主的な規制(協会ルールや取引所規則)が望ましい。それでも不十分な時や緊急時は、行政に頼るしかないのは金融危機で証明されてしまった。そんな流れなのだろうか、ファイナンス規制がまた復活しそうだ。今回の規制は、ファイナンスに関する株主や投資家の誤解を排除する目的で、企業内容等開示ガイドライン【企業内容等の開示に関する留意事項】が改正され、6月4日提出分の有価証券届出書等から適用される。
この中で、「株券等の発行に係る第三者割当」の記載に関する取扱いガイドラインが新設され第三者割当に関して、有価証券届出書の提出先である各財務局において、以下の審査が行われる。(審査に対応する為には、第三者割当の為に有価証券届出書のドラフトを決議日の2週間程度前に持ち込むということになる)

【審査対象】
上場会社が提出する大規模なもの(25%以上の希薄化や支配株主が生じる)や、割当先の実態に周知性がないもの等に該当する第三者割当増資を審査対象とする。また、短期間で容易に普通株が交付される蓋然性が高い種類株券については届出書の提出を求める。

【 審査要領】
① 手取金の使途
実態に即した詳細な表示、使途の合理性等を審査。
② 割当予定先の状況
割当予定先の実在性、払込資金の実在性、特定団体等の確認内容等を審査。
③ 発行条件に関する記載
有利発行に該当しないと判断した場合、その理由等について審査。
④ 大規模な第三者割当の必要性
既存株主のメリット・デメリット等について審査。

 なお、この規制は、先に行われた開示府令の改正(2009年12月施行)を受けた形で、第三者割当増資に係る開示府令の改正の実効性を、第三者割当に関する有価証券届出書現場で持たせようとした形がとられている。やはり、ファイナンス規制の復活だろう。(大規模な公募増資には、何らかの行政上の規制がかかることは、当面無いとみられる。)

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