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2017/06
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投資家目線の証券税制の論点について
6月に実施された矢野経済研究所のFX取引税制に関する投資家調査は、おおよそ次の様な結果を示している。
・取引所取引と店頭取引での課税方法に関する不公平感は約8割の投資家が持っている。:
○FX取引所取引課税=収益に対する20%の申告分離課税(分離雑所得)。損失については分離雑所得内で損益通算可能、又損失の3年間の繰越控除可能。
○FX店頭取引課税=実質20万円以上の収益に関して雑所得として総合課税。損失は雑所得内で通算可能だが繰越控除は出来ない。
・金融所得課税の一体化については、約9割の投資家が、早期導入を必要としている。又、課税一体化は我が国の金融市場に良い影響を与えると考えている投資家が、7割に達している。

 FX取引は、今や証券会社においても成長力のある金融商品だが、上記の課税に関する投資家のニーズは、他の金融商品取引や取引方法の違いによる課税不公平感の解消や、課税方法の明確化・単純化を求めている。以下の様なことも、また個人投資家から見た場合の不公平感や不明さを感じることかもしれない。

・100%公社債で運用している投信であっても、約款において株式で運用することが可能ならば株式投信の扱いになり、現状では譲渡益課税と配当課税は軽減措置(10%←本則20%)を受けることができるが、同様の公社債投信や債券投資は譲渡益非課税で配当は20%の源泉分離課税となる。また、私募の株式投信は、20%の申告分離課税になる。

・特定口座は課税上便利な仕組みではあるが、複数の金融機関で使う場合、管理が複雑になる。また、損益通算する場合は、源泉徴収機能が使えない。

・個人投資家からみて、債券取引は次のような不利益がある。
●デフォルトした場合、他の金融所得と損益通算出来ない。
●既発行の債券を売買する場合、経過利息から20%源泉徴収されるが、売買の相手となる証券会社を含めて金融機関は、経過利息に対しては源泉徴収されない。このことが、課税玉・非課税玉として一時的に分断されることになり、個人投資家が売却する場合は通常の取引価格より低いハンデ価格、購入する場合は、自分が保有していない期間分まで経過利息が源泉される2重課税問題を起こしている。

・個人が受け取る株式の配当は、法人の配当原資に対して一旦法人税が課せられ、配当金を受け取る時にも更に投資家側から源泉徴収が行われる。所謂、配当金の2重課税の問題への対応が、現行の税制では行われていない。

 以上のようなことは、金融商品間の税率や課税方法が同一になって単純化されれば解消されるが、このことは金融所得一体課税の推進の中で行われていくことが期待されている。金融所得一体課税は、金融商品に関する所得(損益)を他の所得と分けて管理する考え方で、既にグローバルでは一般的な考え方になっている。一部の政党が非難するような金持ち優遇でもなんでもない。

 これ等への取組みは、税制改正要望を取りまとめるために金融庁の金融税制研究会でも議論されているが、一方、業界にとって影響が大きいと思われている株式等(含む株式投信など)の譲渡益課税の軽減措置(予定では平成23年に終了)について、業界の識者からは多くの軽減措置延長要望が出されて、その根拠が示されている。筆者も、業界の人間として、軽減措置延長を望みたい。しかし、その論拠とするところで、本当に“貯蓄から投資へ”が進むものなのだろうか、多少の疑問を感じている。
 例えば、金持ち優遇批判に対して、軽減措置期間中に中所得者層の株式や投信の保有が進んだことが、今後も軽減税率を続けることの論拠になるのだろうか。又、特定口座は投資家にとっても利便性が高いとしているが、本当に利便性の高いのは単純な税法ではないのだろうか。軽減措置の延長は、業界にとって重要なテーマかもしれないが、“貯蓄から投資へ”を促進するための税法は、どうあるべきで、その為の方法を提案することに議論の重きを置くべきではないだろうか。例えば、投資による資産形成の為の非課税制度など、欧米諸国は非課税投資制度が整備されているが、401Kでも日本版ISAでも現段階では日本において整備されているとは言い難い。この様な未来の投資家目線に立った税制議論なされることも、業界の一員として望みたい。
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ジャンル : ビジネス

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