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2017/10
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M&A等組織再編促進の為の会社法改正案
 現在、法務省法制審議会で行われている会社法の見直しで、6月23日経済産業省より改正案“今後の会社法制の在り方について”が示されているが、その中から“企業の組織再編・M&Aの支援”に関するものをその現状の問題点とともに取り上げてみたい。

【提案1:自社株対価TOBの利用促進】
・現在の会社法でも、自社株を対価として相手企業の株式を取得することは可能だが、現行の手続きだと、相手の株式をプレミアムを付けて買う為、自己株の方は相対的に安くなることから、有利発行の総会特別決議(実際は金庫株を安く渡すことを想定)が必要になる。又、自社株をもって相手企業に出資することにもなる為、現物出資規制により検査役の調査等が必要にもなる。つまり手続きが複雑で、かつ法的リスクも大きいので、ほとんどこの制度は使われていない。
・現在、企業において消却されずにある金庫株は13兆円に達しているが、M&Aに向けた活用が課題になっている。
・そこで、自社株対価TOBの利用を促進する為、次の対策を行う。
① 現状の株式交換と同様に、自社株対価TOBの場合も検査役の調査を必要とせず、買付会社の役員や応募株主は補填責任を負わない。
② 自社株対価TOBの場合の買付価格決定方法として、発行日の時価若しくは算式で足りることとする。

【提案2:スクイーズアウト、セルアウト制度の創設】
・現状のMBOや完全子会社化で用いられる少数株主の締出し(スクイーズアウト)は、TOB後に全部取得条項付種類株を使ったものが多い。このことは、最初のTOBに応じなければ、次の全部取得条項付種類株の条件で不利に扱われるかもしれなという株主への圧力になる。一方、この全部取得条項付種類株の買取り条件に関する株主側の不満もあり、裁判事例も多くなっている。
・その為、手続きを簡略化し、法的安定性のある迅速な仕組みとして、次の制度を導入する。
○セルアウト制度:TOBの結果、買付者が例えば3分の2以上取得した場合、応募しなかった株主でも、ある一定期間は、TOB価格以上で買取り請求できる制度。総会決議不要。
○スクイーズアウト制度:TOBの結果、買付者が例えば6分の5以上取得した場合、完全子会社化する為、TOBにもセルアウトにも応募しなかった株主に対し、TOB価格以上で売り渡しの請求できる制度。総会決議不要。

【提案3:株主の持分権に着目した組織再編手続きの合理化】
・M&Aなど組織再編に係ることは、株主の持分権の影響が少ない場合でも、株主総会決議や株式買取請求など厳格な株主保護手続きが要求される。
・一方、大規模な第3者割当など、既存株主に大きな希薄化の影響がある場合、取締役会決議限りで実行が可能で、株主買取制度もない。
・よって、株主の持分権への影響を基準に、次の様な制度の見直しを行う。
※現金株式交換や無対価合併、分社化して完全子会社化する会社分割など、株主持分権に直接的影響が無い場合、株主総会の承認を不要とし、株主買取請求制度の適用除外へ
※一定以上の希薄化が生じ、支配権の異動が生じる場合の第3者割当増資などについて、独立役員が過半数以上の特別委員会での承認手続き、株式買取請求制度の整備で株主を保護へ

【提案4:会社による選択的対価制度の創設】
・現在のTOBや株式交換制度は、対価として現金・株式・現金と株式の組み合わせの中から、同一の方法を買収株主全員に用いなければならないが、海外の制度で異なる場合、手続き面で煩雑になったりコストがかかるケースがある。
・これを、買収会社側が株主の属性による区分に応じて、対価の種類を選択できるようにする。

【提言5:事業譲渡の際の許認可承継】
・現状は会社分割と比べて、事業譲渡による許認可の承継が限定的。
・迅速な組織再編を可能にする為、事業譲渡のうち、相当程度の生産性の向上を図るために行われるなど一定の条件を満たす場合、全部又は一部の許認可の承継を可能とする。

【提言6:株式買取請求権制度の見直し】
・提言6-1株式買取請求権が発生する組織再編類型の見直し=例えば、簡易合併や簡易株式交換では、株主持分権への影響が少ない為、株式買取請求権をなしとする。
・提言6-2株式買取請求の濫用防止=請求者適格の範囲の見直しで、組織再編公告後の株式取得者の買取請求を認めない。また、現状では買取請求手続きの長期化で法定利率が6%と高いが、これを見直し、供託制度を制定する。

【提言7:商事・金融高等裁判所(仮称)の創設】
(この件で、筆者は特にコメントがありませんが、M&Aや金融に係る専門的な判例の集約や整理が行われるのなら、市場関係者としても好ましいいと感じます)

 以上に関する筆者の率直な感想は、企業の組織再編の活動を活発化するのに法制度・手続きを簡素化するのは好ましいことに思えるが、買取請求権は、株主の権利であるとともに、経営への牽制機能も果たしているので、この制度の簡略化は、単純には評価出来ないと感じる。
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