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2017/11
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新規公開前の増資規制騒動の背景にあるもの
日本証券業協会が6月10日に公表した新規公開前の増資規制案(自主規制)に関して、上場前に個人から出資を募るのを禁じる条項が含まれているため、「ベンチャー企業の育成を阻害する」などの反対意見が多数よせられたことが報じられている。その内容をみると以下の様になっている。

・改正予定の自主規制名:有価証券の引受け等に関する規則
・新たに設けられた規制:新規公開時における株券の引受判断
引受会員(IPO時の幹事証券のこと)は、上場発行者以外の発行者(IPO予定の企業のこと)が新規公開前に株式や新株予約権、新株予約権付社債及び社債券について個人投資家に対し募集又は私募を行った場合には、細則に定めるときを除き、新規公開において行う株券の募集や売出しの引受けを行ってはらならい。
・細則に定められた上記規則の例外規定
○株券等の募集の為に、すでに有価証券届出書を提出したとき
○既に有価証券報告書を提出していたとき
○株主や役員・従業員などに対してのみ募集又は私募を行ったとき
○上の3つの例外規定に準じると協会が認めたとき

 つまりIPO予定企業は、実質的には、IPO前に既存株主と会社関係者以外の個人から資本を調達することが出来なくなる。勿論、個人でなければ公開前の増資は可能で、ベンチャーキャピタルやフォンド、他の事業会社からの新規公開前の出資は問題ない。
 新規公開前の個人からの増資規制案を示した証券業協会の目的は、未公開株詐欺の増加に歯止め事あるが、その為に発行会社自身による不適切な勧誘行為を排除する規則改正として、7月20日からの施行を予定していた。しかし、この規制案に関しては、エンジェル投資家や経営者の知人・友人などからの出資を否定する可能性があり、ベンチャー企業育成という我が国の成長戦略にも反するなどの反対意見が多かった為、証券業協会は7月2日に同規則改正の延長を表明している。

 この規制騒動の背景には、未公開株に関するトラブルの急増はあるが、報道によると2009年度に国民生活センターに寄せられた未公開株についての相談件数は5378件、この数字は2006年に4066件に急増した後、一旦2007年度に2611件に減少し、その後の最高数値である。確かに、未公開株詐欺は、個人のIPOへの興味を利用した資本市場にとって憎むべき犯罪ではあるが、そのこととIPOの引受判断をするべき証券会社の自主規制での制限とは関連性があるのだろうか。そもそも詐欺的増資を行うような会社は、証券会社の公開営業部門や引受部門で選別されているはずだが、これらのIPO予定企業の増資行為を実質的に規制(個人からの増資)しようとしたことに無理がある。未公開株詐欺に関わらず、金融商品を使った詐欺的行為は、株でも商品先物でも通貨でも何でも良いので、未公開株詐欺だからといってIPO企業の増資行為を規制すること自体に問題があった。この事を、証券業協会の勇み足とする報道もあるが、協会の問題意識は別のところにもあった様に思われる。

 IPOに関わって、例えば発行会社が「近いうちに上場するから買わないか」という行為は、必ずしも詐欺的行為とは言えないどころか、常にありうる行為で、例えは1年後の上場を目指して売上げを拡大する必要があり、その為、設備投資資金をファンドから調達する。ファンドが個人であっても良いが、その際に出資者に対して、発行者からの上場に関するコメントが出るのが普通だろう。もし、この様な行為が資本市場からみて問題のある行為なら、入口の出資者を絞るのではなく、公開後の出資者の行為を制限する出口規制の方が効果的に行えたかもしれない。但し、これは未公開株詐欺とは別のIPOに関わる問題である。

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