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2017/10
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社債市場改革が個人投資家にもたらすもの
 日本の個人投資家にとって、社債市場は遠いところにあるマーケットというのが業界の常識かもしれない。例えば、NTTドコモの社債を買いたいと思っても、それがどの様な価格で、利回りがいくらで、社債してどの様な問題があるか、個人投資家のみならず販売サイドの証券会社などの営業現場でも、すぐには情報が出てこない。だいだい、個人投資家に、この様な低金利の日本での社債投資意欲などあるのかと思っている金融機関が多く、2年で3%の利回りを求める様な個人投資家は、外債投資を薦められるケースが多いのではないだろうか。参考までに示すと、日本証券業協会が示す7月9日の社債の売買参考統計値による日本レジデンシャルの第10回社債2012年9月13日償還の利回りは2.678%(債券価格98.61円、利率1.9%)となっている。
 確かに日本の個人投資家は、社債市場にとって遠い存在かもしれないが、将来、積極的な参加者になる可能性はないのだろうか。現状、個人投資家のニーズとそれに対する問題点について、先ず以下の様に整理してみた。

●買いたい時に買いたい
販売現場における実態は、個人向け社債の発行時に集中して個人に社債を販売するケースが殆どで、既発行の社債は購入しにくい。また、個人投資家側で銘柄を指定して購入しようとしても、1億円以上の現社債市場の流通単位にならなければ、窓口の証券会社に取次いでもらえない。社債券はペーパーレスになったのだから、個人の求める数百万・数千万円サイズの販売も可能になっているはずだか、問題はその様な小口の社債の取引データを、売買を取り継ぐ証券や金融機関間で共有する仕組みがない。その為、結局は手持ちの社債でなければ、個人投資家に販売出来ていない。個人投資家にとっては、社債の流通市場は更に遠い存在だ。

●利回りに高い社債に投資したい
 利回りの高い社債は、日本の社債市場にもある。しかし、格付けが低下していれば、個人投資家が求めても販売現場で確認書の別途徴収が必要だし、その際、現場に信用リスクを説明しなければならない。格付けのある公募債でも、格付けだけで信用リスクが説明できない場合もある。例えば、銀行系消費者金融の発行する社債は、軒並み4~9%台の利回りだが、銀行の借り入れより劣後してし、多額の銀行借入の条件がどう影響するか、その情報は開示されていない。

●自らの判断で、適時・的確に売買したい
 個人投資家にとって、社債を株式と同様に売買することは現状不可能だ。買いたい時は、窓口の証券会社の手持ちリストから選択するしかないし、売りたい時は、買付けた証券会社が示す時価に数十銭の手数を支払い引き取ってもらう。個人投資家の社債売買に向かう証券会社の方でも問題があり、社債売買の際に発生する経過利息の遣り取りに関して、個人売却分から源泉徴収しなければならず、すぐ個人に転売する以外は、課税・非課税の調整を自ら行わなければならない(課税玉・非課税玉問題)。その為、個人投資家から買取る価格は、その分、低くならざるお得ない。

●他の金融資産と一緒に管理し、また有効に活用したい
 株式では当たり前になってきたが、当面売買しなければ有価証券として有効活用する為に誰かに貸すということが投資家にとって望ましい。今後、社債のレポ市場が将来的に整備されていけば、個人投資家保有する社債も、貸株サービス同様にレンディング出来るということも可能かもしれない。一方、保有する社債を担保として活用したいというニーズは早急に実現すべきだ。その為には、市場価格情報とリアルな信用情報が必要で、個人にとって利便性のある情報共有システムの構築が待たれる。

●安全に投資したい
個人にとって、投資する社債を誰が管理しているか問題になる。例えば、公募債の多くは、財務代理人による社債管理を行っている為、投資家に対する社債管理の責任はない。また、社債管理会社が管理する社債であっても、発行企業に多額のローンを貸す金融機関が社債管理会社であれば、社債権者とは利益相反になることもあり、デフォルトした場合の対応が異なるリスクがある。

以上のことは、実は個人投資家だけのことだけではなく、一部の金融機関を除いた社債の潜在的投資家にも当てはまる部分が多くある。これらの問題につき、日本証券業協会が主催する懇談会において、ここ1年間、関係者・識者による議論がされてきたが、その報告書として6月22日“社債市場の活性化に向けて”が公表されている。上記の内容は、その報告書を個人投資家の視線で見直してみたが、その中で筆者が第一優先事項として上げたいのは、価格・信用情報の共有システムの構築を早急に行うことである。
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