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2017/06
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ライツ・イシューの問題点を考える
 株主に優しい増資方法として期待されているライツ・イシューだが、第一号のタカラレーベンを5月末に終えて、このエクイティ・ファイナンス手段としての問題点が専門家から出されているようだ。この議論は、金融庁が主催するコーポレート・ガバナンス連絡会議でなされているようだが、当会議は現在法制審議会で行われている会社法の見直しに対し、金融・資本市場サイドからの要望を入れる為になされているものだ。会議自体は非公開なので、議事要旨しか公表されていないが、その中でライツ・オファリング(ライツ・イシューと呼ぼうが、株主割当増資と言おうが、株主にファイナンスに応じる権利=新株予約権を割り当てるという行為は同じ)関係として取り上げられている。以下その内容について、考えてみたい。[カッコ内は、筆者の感想と私見]

【プロが指摘した問題点1】
ファイナンス期間が長期になるほど、政治経済イベントの発生や投機的な取引の介入の可能性が増すことから、株価の不安定性が増し、妥当な行使価格の設定が難しくなる。ノンコミットメント型の場合は、発行会社の資金調達の不確実性が増し、コミットメント型の場合は証券会社のマーケットリスクが増すため、コミットしづらくなる。このため、できる限り、ファイナンス期間は短い方が望ましい。

[ここで言うコミットメント型とは、株主が割当てられたライツ(新株予約権)を放棄した場合、その分を証券会社が引き取って販売し直す約束をすることを指す。問題は、米国の法律の様に、自国民が保有する日本株でも、ライツを割当てられて、その権利行使で新株に払い込む行為を、米国内での募集行為と見做す為、発行会社は米国での開示書類対応が必要になる。日本の会社が、日本でライツ・イシューを行うのに、米国での開示対応は不可能なので、結局、米国株主の分のライツは証券会社などが買い取って、他の投資家に転売する必要がある。今回のタカラレーベンはノンコミットメント型なので、米国株主がいれば、この分は権利放棄しただろうが、外人株主比率が高い会社は、コミットメント型が望ましいと言われる。但し、ライツとして一旦割当てられたものが、株主であろうが証券会社であろうが、ライツとして取引所で売買することが可能なので、ファイナンス期間(=権利行使期間)が2週間でいいのか、2ヵ月いるのかは、本来発行会社が決めるべきことで、証券会社のコミットメントリスクとは直接関係無いように思われる。]

【プロが指摘した問題点2】
会社法上、新株予約権の株主割当てについては、権利行使期間開始日の2週間前までに通知が必要とされるが、株式の株主割当てと同様に行使期間の最終日から2週間前の通知にできないか。

[確かに株主へのライツの割当てする通知は、発行会社にとって時間的余裕がある方が良いが、株主からみてライツが権利落ち後、直ぐに売却及び売買可能であれは、事務的手続きの問題で、決済や取次ぎをする証券や金融機関の技術的問題ではないだろうか]

【プロが指摘した問題点3】
新株予約権の無償割当てに際して目論見書をwebで公表した場合は、目論見書の交付を原則として不要とし、個々の株主に求めに応じて目論見書を送付すればよいことにできないか。

[株主にもそうだが、当たらにライツを購入する投資家にも必要な目論見書とされているが、一方でライツが売買されていることを思えば、このライツ部分の売買や行使に必要な開示対応は機動的に行えた方が良い。金商法上の技術的な問題とは言え、筆者もそうあるべきだと考える。]

【プロが指摘した問題点4】
無償割当てにより取得した新株予約権は特定口座への受け入れ不可。一方、上場後に取得した新株予約権は特定口座への受け入れ可能とされているが、税制との関係で、区別なく受け入れ可能とすべき。

[気持ちはわかるが、これはライツ・イシューの問題ではなく、デリバティブ課税(ライツ=新株予約権もデリバテ
ィブ)の問題で、金融所得一体課税の進捗が待たれることではないか]

【プロが指摘した問題点5】
ライツ・オファリングに伴う証券会社の新株予約権・株式の取得について、一定の要件のもと、公開買付規制の対象から除外することが認められないか。

[確かに株主に大きく割り当てるライツ・イシューにおいて、コミットメント型の場合、ライツを大量に外人株主から購入した場合、発行済株数の5%以上になり公開買付規制に抵触する可能性もある。しかし、これも金商法上の技術的問題であって、会社法の本質的問題ではない。]

【プロが指摘した要望事項】
ライツ・オファリングについては会社法の改正を待たずに資本市場の問題として早急に対処してほしい。

[筆者も本当にそう思う。ライツ・シューの多くの問題は、金商法・市場慣行・業者間の対応でクリア出来ると思うが、証券会社に対する金融庁の一押しが必要かも知れない]

 以上になるが、何事もそうであるように、何か新しい対応をしようとするとき、必ず現場(この場合、残念ながら証券の引受サイドの現場と言う意味)から実務的反対論が出てくる。しかし、多くの場合、この論拠は、しない理屈であることが多く、経営者そして利用者が困惑する部分である。証券市場の停滞は、何も市況だけではないのが残念に思うが、せめてライツ・イシューで私見を反証して欲しい。

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ライツイシューとは、増資に応じる権利の発行である。もう少し細かく表現すると、有償増資に応じる権利の無償発行である。ついてこれるか? 日本市場では約25件ほどの実績がある。新株予約権系ファイナンスは、ライツイシュー、ワラント、転換社債の3種に分けて、トレースしているが、2010年タカラレーベンのライツイシューを皮切りにデビュー。その後はなりを潜めていたが、2013年に堂々復帰したので、ここで言...
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