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2017/06
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インサイダー取引とTOB
パナソニックによる三洋電機とパナソニック電工の完全子会社化の報道がなされ、両社に対するTOB期待も一気に高まったが、TOBに関する情報は市場参加者なら誰しも知りたい情報だ。市場参加者でなくとも未公開のTOB情報を知ったなら、市場に参加したくなるのが人の常かも知れない。但し、普通の市場参加者なら、TOBに限らす、公表されていない重要事実を知って株式を売買することがインサイダー取引という犯罪行為に繋がる事を知っている。金融商品取引法に違反する犯罪行為として裁かれる事に加えて、課徴金というペナルティーも課せられる。TOBは、通常なら2~3割、MOBなどのケースでは5割前後のプレミアムがつくこともあって、対象株式が買いだと分かり易いが、昨年のJALの救済の可能性を巡る情報の錯綜の様に、時には分かり難い事もインサイダー取引の対象になる可能性もある。

 そのインサイダー取引に対する証券取引等監視委員会(SESC)の課徴金勧告は、平成21年度は38件と前年度に比べ倍増している。特にTOBに関しては前年度の3件から13件に、民事再生・会社更生に関するものも過去殆ど無かったが8件に増えている。
 インサイダー取引の勧告が増えているのは、SESCの体制が強化されていることもあるが、M&Aやそれに伴うTOB件数の増加が背景にある。また、M&Aビジネスの特性として時間がかかる(少なくとも関係者による取組みが始まってから3ヵ月、長ければ1年以上)ので、その進行時間の経過とともに関係する人が増えていくこともTOBに係るインサイダー取引のリスクを増加させる要因となっている。

 この様なTOBとインサイダー取引の関係について、SESC事務局が分かりやくす取り纏めた下記の資料があるので、金融機関のM&A関係者は一読すべきだ。
“株式公開買付等に係る実務とインサイダー取引のリスク”

TOBに係る実務者毎にインサイダー取引のリスクの高低を示しているのは興味深いが、要は関係者間においてM&A及びTOBに関する情報をキッチリ管理するということだ。M&Aのプロなら当然とも思われるが、そのM&Aのプロ中のプロである証券会社のM&A部門の専門家でも、5社のインサイダー取引に関与していたことは、業界にショックを与えた。TOBの実行者(公開買付代理人)、M&Aのアドバイザー、企業へのコンサルティングという情報の機密性の高い業務を顧客企業の為に行っていたはずだが、それでも個人のインサイダー取引を防げなかった。
どの様なプロでも関与しうるインサイダー取引だが、SESCは事前阻止する為の対応策として、次の事を示している。
① FA(M&Aのファイナンシャル・アドバイザー)の注意喚起等の役割
 FAはM&Aにおいては当初から案件に深く関与する。証券会社のFAは、他に利益相反する部門があったり、市場取引部門を持つので、本来は案件の情報管理が最も厳格だ。そのFAは、案件の各段階における情報管理の為の注意喚起の役割を徹底すべきとしている。

② 情報伝達範囲・内容の限定
証券会社がFAの場合、TOBが近づいてくるとリテール部門で一部内容を伝達し始めるが、個別名を明かさない工夫や、銀行・株主・取引先などへの伝達内容・範囲の限定が必要としている。

③ 情報管理態勢の強化
必要に応じて関係者に情報を伝達する場合、業種ごとに情報管理態勢が異なることを認識して情報伝達先の情報管理徹底を図る。例えば、TOBの目論見書を事前に印刷する業者が第三者に業務委託するような場合。

④ 守秘義務契約締結の奨励
守秘義務契約を出来る限り提携していくことが有益。

⑤ 経緯報告書の内容の充実
案件に関与するものの関与内容を明確にする経緯報告書の記載の充実は、関係者の情報管理の徹底の為にも有効で、インサイダー取引の未然防止効果もある。
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