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2017/06
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FX規制は誰の為か
 この8月よりFX取引のレバレッジ規制が始まる。先ずは証拠金の50倍まで、来年8月からは25倍以内に売買する外貨の金額を制限する。このレバレッジ規制は、個人投資家を中心に反対が強かったが、FX取引の健全性を重視する金融庁により、結局実施される。このFX取引という個人中心の外国通貨取引は、本番の外為市場での取引全体の2割近くになることもあって、市場のプレーヤーとしての存在感も増えており、証拠金総額で6000億円、口座数推計で250万口座を超えているようだ。過去5年間で証拠金が2倍、口座数で5倍の急成長になる。

 FX取引は証拠金をベースにした為替のデリバティブ取引だから、当然金融商品取引業者になるが、本来この業の中心であった証券会社のネット化や銀行窓販への対応など業態転換への取り組みを横目に見ながら、FX取引業者は金融取引業者として唯一急成長する事業領域であった。

 先ずレバレッジ規制そのものについて考えてみたい。
 一昨年の金融危機以来、金融に関係する分野での規制強化はグローバルな流れになっているように思うが、このFX取引のレバレッジに関しても英国では過度なレバレッジを掛けられないよう当局が業者を監視しているし、米国でもこの1月には商品先物取引委員会(デリバティブ関連の規制当局)が、従来100倍までとしていたものを引き下げる案を公表している。日本のレバレッジ規制もこの流れに沿っているようにも見えるが、本当にそうなのだろうか。

FX取引に関しては、日本は殆ど個人中心で、ファンドや機関投資家が主体の欧米とは異なっていることがよく指摘されている。個人からお金を預かるファンドや機関投資家が1億円で100倍のレバレッジを掛け外国通貨を100億円売買するのと、個人が1万円で100万円売買することを同列で考えるのはおかしい。また、同じ個人でも1万円と1億円の証拠金のレバレッジを同等に扱うのも何か違う。本来、レバレッジとはFX業者が投資家に与える与信枠なのだから、FX業者が投資家の経験や資産状況・取引の大小を見て決めるべき事ではなかったのだろうか。

 次に外為規制のうちで、この2月から先行して始まっているものがあるが、これはFX取引の投資家に対する規制ではなく、FX取引業者への規制になる。一つ目は証拠金の管理方法が、信託銀行等への金銭信託に一本化された。今まではFX業者は顧客の証拠金を、銀行の預金口やカバー取引先への差し入れしていた。二つ目は全ての業者に対して、ロスカット・ルールの整備し、遵守することが義務付けられたことだ。今までも多くのFX業者は投資家に対して、ロスカット取引の設定を求めていたが、これを徹底することで、投資家の予想外の損失を防ぎ、業者の取引の健全性を守ろうとする。一つ目は資金負担の増加、二つ目はロスカット取引に合わせたシステム投資の増加、といずれもFX取引業者の負担増加を強いるものだ。

 最初にあげたレバレッジ規制だが、レバレッジが高ければ、それだけカバー先との与信リスクが増えるか、FX取引業者自らのレバレッジ増加分の資金負担が増える。つまり高レバレッジは、本来はFX取引業者自らのコストを増加させる。それを敢えて行うのは、実質的な売買手数料であるスプレッドもレバレッジがかかり、また投資家がポジションを延長するスワップ(株の信用取引における金利負担に相当)もレバレッジがかかって、収益が増加する。レバレッジ規制は、結局FX取引業者の収益を減少させる要因になる。

 以上、FX規制全体を考えてみると、FX取引業者にとって収益が減少し、コストが増加することから、FX取引業全体は、今までの高成長から、個別の業者がその体力と戦略を試される選別の時代に入った。こう考えてみると、レバレッジを規制される投資家にとって、より健全で安全性の高いFX取引サービスを受けられる可能性が高まるので、期待できる部分もあるかも知れない。しかし、これは本来FX取引業者そのものの問題であると筆者は考える。

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