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空売り規制と自社株取得緩和
 先月7月末に6度目の空売り規制と自社株取得の緩和の延長がされ、両処置とも10月末まで延長されることが金融庁より示された。2年前の金融危機の時点で、各国の金融当局により、特に市場への影響が大きいと思われる大手金融機関株式などの空売りを禁止する時限措置が取られた。
 日本でも、金商法に定められた空売り規制、
・原則直前の価格以下での空売りを禁止した価格規制(アップティック・ルール)
※個人の信用取引が原則例外(50単元以内)
・売付けが空売りであるか否かの別の明示・確認を取引者等に義務付ける明示・確認義務
に加え、
・各取引所における、全銘柄合計及び業種別の空売り状況の日次公表
が恒久化され、次の時限措置が加えられた。
○売付けの際に株の手当てがなされていない空売り(Naked Short Selling)の禁止。
○一定規模(発行済株式総数の原則0.25%)以上の空売りポジションの保有者に対する、証券会社を通じた取引所への報告の義務付け。取引所による当該情報の公表。

 この後ろ2つの時限措置については、昨年12月に公表された“金融・資本市場に係る制度整備”においては空売り報告制度の整備として恒久化を検討するとされていた。但し、価格規制(アップティック・ルール)については、売り崩し防止策として導入された時より流動性を重視する流れが強く、業界からは撤廃を求める声も強い。実際、米国では2007年7月に撤廃され、金融規制改革法で復活の可能性もあったが、今回は見送られたようだ。英国でも価格規制はない。ここで一般に少し分かり難いのはNaked Short Sellingだが、株を手当てしないで売買するとどうなるかというと、2つの方法に分かれる。一つは、決済日まで売った株を手当てする事、もう一つは決済そのものを延長してもらうこと。一つ目は特に問題ないが、空売りした後に株式を借りてくるか、買い戻してその分の決済を空売りした決済日より速めてもらうことで対応出来る。二つ目は、フェイルと言う方法で対応することも可能で、売却した株を渡せなかった売り手は、後日の株式の引渡しを約束して買い方に担保を入れる。その間、売り手は株を買うなり借りるなりして調達していく。ヘッジファンドなどが使う手法でもあるが、それを相対でうけるのが外資を中心として投資銀行(グルーバルな証券会社)である。そもそも、金商法上では株式が手当てされない空売りは禁止されているはずなので、この部分は普通の投資家には分かり難い。

 但し、一般の投資家にとって通常の信用取引制度や貸借取引制度(制度信用)などと異なった空売りの実数が分かることは、投資判断をする上で重要な情報になる。

 以上を簡単に纏めると、空売り規制で旧来からある価格規制は流動性確保の視点から撤廃を検討し、一定量以上の空売りポジションを報告し公表(銘柄毎)する空売り報告制度は個人投資家の回帰の為にも具体的に進めるべきだ。業界の一部に見られるように、空売り規制強化と一つに束ねて反対するのは、多少大人げが無いように思う。

 一方、自社株取得に対する規制は、上場会社が自社株を取得する場合のガイドラインで規制したものだが、
・1日の買付数量の上限について、直近4週間の1日平均売買高の25%を上限として買付けを行うこと
・金融商品取引所の取引終了時刻の直前30分間以外の時間に自己株券の買付けを行うこと
としたのは、上場会社自らは自社株の価格形成に作為的に関与することを避ける為だ。これも、金融危機の緊急対応として空売り規制強化とともに、2年間その適用を停止しているが、この分は本来の金商法における有価証券の取引等に関する規制の相場操縦規制により、株の発行者である上場会社の行為も縛ることが出来るのではないだろうか。自社株取得も10年以上経ち一般化してきたし、相場操縦の摘発も厳格に行われるようになってきたので、このガイドラインそのものは撤廃する時期にきているのだろ。

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