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2017/08
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MBO増加の可能性を易しく考える
上場会社のMBO(マネージメント・バイアウト)は昨年度11件あったが、12日はJSTと日清医療食品の2件のMBOが発表された。両社とも事業領域の市場が縮小しており、抜本的な事業再構築が必要となったことから、MBOを行うという。そのMBO要件の基本的なことについて考えてみたい。

【MBOの形態】
言葉のとおり経営陣による企業買収になるが、その経営者が旧か現もしくは新かの違いはMBO資金の出所による。通常MBOは、市場価格に対して3~5割程度のプレミアムをつけTOB(公開買付)するので、経営陣は纏まった資金が必要になる。このMBO資金については、嘗てはプライベート・エクイティ・ファンドなどの出資を中心にしたものが殆どだったが、ファンド出資だと投資収益率が問題になるので、比較的短期間の再上場を目指すことになり経営者へ圧力が強まりがちだった。
これに対してオーナー一族がある程度の比率株式を保有し、かつローンの調達力がある場合、オーナー一族の100%出資という形態も出ている。この場合、企業のガバナンスが効きづらくなるという欠点があるが、ファイナンスコストも安く、再上場の圧力もない。
ちなみにMBO資金はローンで賄えるならそれに越したことはないが、企業価値をベースにそのローン金額を制限されることがある。(業種や企業内容によって異なるが、EBITDA倍率等を用いた企業価値の半分程度とされるのが一般的)経営陣が用意する出資資金が不足した場合、ファンドの出資を受けなければ、主要な取引先の出資や、議決権がない代わりに高配当を約束する優先株でのメザニン対応などのケースも増えていきている。

【MBOの条件】
MBOの必要十分条件は2つあるが、一つ目は株価が安いことだろう。企業が買収リスクに晒されているとの経営者の危機感強まるということもあるかも知れないが、大幅なプレミアムを払ってまでも企業価値はあると思わなければ、経営者はMBOに動かない。今の日本の株式市場の環境なら、MBO増加の余地が大きい可能性がある。
もう一つは、経営者が上場のメリット<上場のデメリットと判断することだ。上場の最大のメリットは、資本調達が容易になることだが、エクイティファイナンスが出来ない、もしく必要なければ、上場メリットは大きく縮小する。それでも株式の流動性があるとか、株式市場から求めるガバナンス態勢により経営規律が働くとか、信用力が保たれたり、従業員のモチベーションが維持できるといった副次的メリットはある。しかし最近は内部統制報告制度や四半期開示などもあって上場維持のコストも上がっているし、何よりも低株価のまま市場で放置されていることで、敵対的買収リスクも高まっている。またIRやIFRSに向けた態勢整備をしていく中で、更なるコスト増加も見込まれる。上場のデメリットを感じる企業が増える傾向にある。

【MBOの本源的意味】
 上記に上げた2つの必要十分条件は、あくまでも条件であって目的ではない。株価が安いので買い戻すだけが目的なら、自社株買いで安いときに買っておいて、再び成長するときに市場から資本調達すればいい。また、上場コストが高負担になるような銘柄は本来退場すべきとの投資家サイドの考え方もある。しかし、企業が再生しようとする時、株価や情報開示という圧力から一旦切り離されなければ思い切った手が打てない場合があるのも事実だ。その際、ステークホルダー間で利益相反することも起きるのでMBOは難しいといわれるが、唯一ステークホルダー間の収斂された目標があるとすると、それは企業価値の向上ということになる。MBOは、その企業価値向上の為に非上場化という処置をステークホルダー間で受け入れる環境にあるか経営者が判断することから始まる。
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MBOした会社は上場を目指すのか
おじゃまいたします。MBOに関して、上場しているより、MBOして非上場したほうが、市場の状況が悪い場合、非上場のメリットが得られるのが管理人さんのご説明だと思いますが、
幹部従業員などがMBOによって独立する場合、場合によって異なりますが、彼らは銀行やファンドなどから資金を調達したので、そのために株式公開を目指すのが通常なのでしょうか。もちろん会社によっては株式市場の状況をみていますが。
Re: MBOした会社は上場を目指すのか
ご質問はMBOにおける銀行やファンドなど出資者の立場でのEXIT(出口戦略)の問題だと思います。お金を出資している以上回収しなければなりませんが、その回収の方法として再度株式公開を目指すというのは分かりやすく一般的です。せっかく非上場化したのに何故とのイメージがありますが、上場会社が非上場化することで思い切ったリストラ(事業の再構築)を行い、企業価値を高めた上でファンドなどが持分を処分し資金を回収する方法としては分かりやすいのですが、実は実例はそれ程多くはありません。再上場までは結構時間がかかるので、ファンド側から早期の回収を目論む場合、新たなM&Aで新たな買い手を見つけて自分の持分を売却してしまうこともあります。
この様な出資者の出口戦略の圧力から逃れようとすると、ファンド等に頼る資金を小さくしていく、若しくは頼らないMBOになりますが、この場合オナー企業のMBOや取引先の出資という方法があるというのが記事の内容です。
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