*All archives* |  *Admin*

2017/10
<<  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31  >>
市場の流動性向上にPTSは役立つか
 日本で7番目のPTS(私設取引システム)チャイエックス・ジャパンが先月29日にスタートした。当初、取り扱う日本株現物の銘柄数は5銘柄から始まり、5日には234銘柄に拡大、9月中には東証1部時価総額の9割以上をカバーする7~800銘柄の取扱いを目指すという。このチャイエックス・ジャパンのPTSの概要は以下の様になっている。

【取引時間】
8:00~16:00 (証券会社や機関投資家層の取引を想定しているので、個人相手のネット証券系PTSのようなイブニングセッション・ナイトセッションはない。)
【受渡日】
通常通りにT(約定日)+3営業日
【注文方法】
指値のみ(ペグ注文やアイスバーグ注文など自動発注機能あり。※自動発注機能があるのはここだけ)
【呼び値】
5000円以下の株価=0.1円刻み(取引所取引:3000円超5000円以下5円)
5000円超100000円以下=1円(取引所取引:30,000円超50,000円以下50円)
100000円超=10円(取引所取引:300,000円超500,000円以下500円)
※取引所の呼び値以下を基準にするのは他にkabu.comPTSとジャパンネクストPTSのみ
【約定方法】
指値相対による継続的付合せ(価格優先、時間優先)
【決済のルール】
日本証券クリアリング機構の現物清算参加者もしくはその取次ぎ委託者が、日本証券クリアリング機構との間で行う。(他のPTSは運営する証券会社との相対決済が基本だったが、ジャパンネクストPTSは7月より同様の決済方法に変更)
【取引参加者】
現在の野村とインスティネット証券のほか、ドイツ証券、クレディ・スイス証券、モルガン・スタンレーMUFG証券。8月中には10社を超える予定。(現在、3社以上参加するのは、ジャパンネクストPTSの10社、kabu.comPTSの8社)

現在、取引所外取引に占めるPTS取引の割合は金額ベースで10%台半ばまで増加してきているが、全取引に占める割合は未だ1%に満たない。欧米市場においては、このPTSは、その取引量が市場全体の2~3割を占めるようになっており、既存の取引所と競争しながらも市場全般の流動性に寄与しているとの評価が一般的になってきている。チャイエックスの参入で、日本でもその流動性向上の効果が期待され、日本市場へのPTSと通して新たな投資家・取引需要の創出が望まれているが、その為には次の2点が必要ではないだろか。

○取引所およびPTS間の価格情報を比較できるシステム
米国でのPTS成功の市場インフラ基盤として全米市場システム(NWS)の存在が欠かせない。これは全米の取引所・PTS間の気配情報や取引情報を結合して、最良気配を出している市場に注文を転送する自動転送機能を持つ。日本では取引ルールが異なるが、PTS間や取引所間の注文情報を比較できるシステム(情報伝達もミリ秒単位なので、情報を処理する為の自動発注システムも含まれる)が望まれる。

○最良執行義務への取り組みの進化
 同じ取引を実行するなら、一番いい値段の取引を行おうとするのが当たり前だ。例えば1万株を500円で買おうとした時、他のPTSでは499円90銭で買えるなら、PTSに注文を出すべきだ。この様なケースを想定して、一部PTSでは呼び値を取引所より細分化している。つまり一番いい値段で売買が執行できる=最良執行値段になるケースが多くなる。欧州でPTS(欧州での呼称はMTF=Multilateral. Trading Facility)が全市場取引の3割程度と普及した理由は、2007年でのMiFID(金融商品市場指令)で最良執行義務の導入が一因だと言われている。日本でも最良執行義務は2005年から施行されているが、今まではPTSの未発達もあって、PTS接続証券会社においてもPTSを含めて最良執行方針を定めているのはごく一部に限られていた。今後、PTSを含めての最良執行義務が標準化されていけば、PTSの取引増加が期待できる。

 以上の2つが整った段階でPTSは市場全体の流動性向上に役立つと思われるが、今しばらく時間が必要かもしれない。

スポンサーサイト

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

Secret
(非公開コメント受付中)

最新記事
カテゴリ
最新コメント
プロフィール

ポーラスター

Author:ポーラスター
2009年1月スタート

最新トラックバック
月別アーカイブ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク
RSSリンクの表示
参考文献
QRコード
QRコード