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2017/06
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取引所が関与する投資家への情報発信2題
 取引所が上場商品に関する情報や取引情報を投資家に伝えることは当たり前の様に思うが、実は結構難しい問題もある。どこまでの情報を、誰に、どの様に伝えるかということだが、一番の難問は誰にというとろだ。昔は直接の取引参加者(証券会社)がその主な対象で、投資家はその取引参加者を通じて情報を入手する前提でもよかったが、貯蓄から投資への流れで、取引所が個人までも含めた投資家へ情報発信しなければならないことが増えている。また、基本的な情報である売買価格や取引量など取引情報すらダークプール(証券会社内の売買付合せシステム等)やPTS(私設取引システム)で行われたものは、個人投資家は勿論、取引所でさえ補足できない。

 そのような中で、東証と大証のそれぞれ情報に関する考えや取組みを紹介したい。

先ず東証の方だが、斉藤社長の8月24日の定例記者会見において、最良執行義務との関係で、ダークプールやPTSでの取引情報に関して、“市場間(取引所とダークプールやPTSという意味)で情報開示レベルや基本的な売買ルールを整合的に整理し、同じルールでやるべき”としている。これは、先月日本に参入した欧州最大手のPTSチャイエックスに対する牽制の意味もあるだろうか、最近の米SECやCESR(欧州証券規制当局委員会)での取引の透明性向上への取組み提案が出ていることが背景となっている。簡単に言うなら、A銘柄の買い注文を取引所に出すか、PTSに発注するか、社内もしくはグループ内での反対の売り注文と相殺するか、注文を出した投資家が分かり易いように其々の市場の取引情報が公表されるべきということになる。ただし、日本ではまだ最良執行義務が厳格でないので、ここまで進むには時間がかかりそうだ。

2つ目は大証のJASDAQアナリストレポート・プラットフォーム(JQ-ARP)についてだが、8月20日に同制度の導入が公表されており、以下の概要になっている。
【目的】10月12日にスタートする新JASDAQ市場の情報発信機能強化の一環として、アナリスト・カバレッジの向上を目指す。
【枠組み】
・新市場に上場する企業はJQ-ARP利用の申込みを行う。
・大証は大証が既に選定しているアナリストレポート作成業務の提携会社(AR供給者)から1社を割当て、アナリストレポート作成を依頼。
・この費用については、大証と上場会社が負担。
・レポートは、会社を網羅的に紹介した“ベーシックレポート”(申込み後90日以内)と決算にフォーカスした“アップデートレポート”が基本だが、大きな変化がある場合はAR供給者のアナリストの判断で“リサーチノート”が発行される。
・レポート内容は、業績予想や分析・評価コメントを付けるが、目標株価やレーティングは記載しない。
・レポートは無料で閲覧できる仕組みを予定し、大証ウェブサイトにも掲載。
アナリストレポート作成を行うAR供給者は、大証と1年契約になるが、その選定基準の概要は次のようになる。
【AR供給者選定基準】
・レポートの審査や情報の管理、アナリストの独立性の確保やコンプライアンスなどの社内管理体制の整備。
・レポートの社内審査を行う審査担当者がいること。
・会社に関する重要情報及びレポート内容など、情報管理を徹底すること。
・アナリスト意見の独立性の確保。
・アナリストによる対象企業株式の売買禁止と社内関係者の売買自粛。
・投資家の質問・クレーム・意見等に対応できる社内体制整備。

 筆者の個人的な見解だが、取引所がアナリストレポートの費用を負担してまで情報発信態勢を整備していくというのは画期的な取組みだと思うので、是非このJQ-ARPという制度導入を大証は頑張って実施してもらいたい。ただし、AR供給者の選定基準は金融関連のアナリストとしての自主性に任せるべきで、余り厳格なものは必要ない。また、AR供給者が投資家に直接対応することも不要だ。その方が現実的にAR供給者の範囲を広げ、結果として制度を下支えするインフラが構築できると考える。
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