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2017/08
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“ほふり”の機能を見直そう
どんな取引でも、[情報を集めて整理する→取引の判断をする→取引の約定をする→取引の決済をする]の基本的なプロセスを経るが、どうしても世間の注目は、情報そのものや約定に集中しがちになる。金融商品においても然りで、取引システムや取引所機能の拡大は業界の耳目を集めるが、決済関係のことは余り話題とならない。識者においては、だいだい日本の決済制度改革は昨年1月からの株券の完全ペーパレス化をもって終了しているのではと指摘されるだろう。確かに、CPも社債も地方債も投信も、そして株式も含めて世に出回る金融商品の現物は、公募も私募も含めて殆ど電子化された。そして電子データとして管理されており、取引される度にそのデータは“ほふり”で動く。
標題に上げたのは、この“ほふり”に集まったデーダの使い方によっては、現在日本の資本市場が抱えている課題や機能改善に役立つのではと思われることが有るからだ。

日本の資本市場の決済インフラとしての“ほふり”の機能について、改めて考えてみたい。
“ほふり”=証券保管振替機構は、証券業界を中心にした金融機関170社の出資による株式会社であるが、東証と日本証券業協会で合わせ35%弱を保有して、資本金42.5億円、従業員数192名の組織である。東証と協会以外に出資している金融機関は、“ほふり”の利用者であり、また何らかの有価証券(金融商品)の決済口座を“ほふり”内にもっていて、日本で投資対象となるような金融商品は、ほゞ“ほふり”決済され、そして保管される。(未公開株式や、グリーンシート株式は、今のところ“ほふり”の対象外。)

ここから少し話が複雑になるが、“ほふり”利用者の金融機関の口座の中には、その顧客である投資家の口座が含まれていて、“ほふり”ではその投資家の口座まで管理している。勿論、投資家はその利用している金融機関に口座を持っているつもりだろうが、実際の決済・保管は、“ほふり”内にあるその金融機関の口座内の、更に顧客口座で行われて、それは“ほふり”が管理している。では、Xという投資家が、A証券とB証券両方にソニー株を持っている場合はどう処理されるかというと、“ほふり”で名寄せされる。
また、日本で唯一の金融商品の集中決済機関として、金融商品取引の決済照合を行うことも出来るし、DVP(Delivery Versus Payment)といって、金融商品とその売買代金を同時に決済することも出来る。

この事を簡単に言ってしまえば、“ほふり”には投資家の金融商品取引データが集積することになる。投資家の売買だけではなく、レンディング(貸借取引)、単なる金融機関間の顧客資産の異動、担保などの移動なども、そのデータを集積したり、また個別に取り出すこともできる。勿論、個別投資家のデータは守秘義務で守られるべきだが、本来投資家間で共有した方が好ましいと思われるデータは、“ほふり”を通じて整理し、そして共有すべきではないかという思いで、本稿を書いている。

ではどんなことが可能なのだろうか。少し実例を挙げてみたい。

【株式】よく日本の株主数は、のべ4000万人を超えたと言われるが、そんなに株を保有している人がいる訳がない。8月末時点に“ほふり”で名寄せした実数は、1643万人という。また個別銘柄の“ほふり”内口座の移動実数が把握出来るので、そこから売買数を差し引けば、貸し借りされた株数や担保に出されている株数を算出することが出来る。

【債券】証券業協会の社債流通市場活性化で、取引価格情報の共有が問題になっているが、投資家間を売買される社債は、全て“ほふり”決済されるし、取引の照合も“ほふり”内の決済照合が使われることが多くなってきている。この決済照合データは当然売買価格も含まれるのだから、この情報を集約して投資家に公表してしまえばこの問題は解決できるように思われる。

【投信】この8月には投信の解約が1日あたり5907件、2303億円、新規設定が1日あたり5292件、2612億円あったという。投信のデータも、その投資属性別に把握していけば、何が売れ筋で、何が投資家が減少しているか、ほぼリアルで把握することが出来る。

ただし、現在の“ほふり”には上記のようなことを行う義務は一切ない。しかし、アジアの中で日本市場をメイン・マーケットと位置付ける戦略をとるなら、せっかくある“ほふり”の機能を活用すべき時ではないだろうか。
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