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2017/11
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証券業界は市場の声にもっと耳を傾けよう
市場の動きが全て正しい訳ではない。しかし、多様な取引参加者が参加する為替市場や株式市場において、何かの特異な動きを、市場からの何らかの変化を求めるサインとして見ることは、経験ある投資家らなら当然のことだ。指摘したかったのは、先週の為替介入後の株式相場の反発を横目に、証券株は総じて年初来安値を付けていることだ。22日付け日経の“まちかど”欄でも指摘されていたが、FX取引専業の株式は介入と共に反発したが、証券株か逆に売り込まれて年初来の安値を付ける銘柄も出ている。どちらも金融商品取引業者だが、一方は8月からのレバレッジ規制や証券会社のFX取引強化で今後の競争激化と収益性悪化が予想され、片方は日本株取引が減少しているが投信や外債はソコソコに売れている。業界環境を考えると、この動きには多少違和感がある。しかしこの証券株の軟調は、5月以降のトレンドとして一貫した動きだ。

本稿の目的は、相場観を語ることではない。ただ、業界の人間として、やはり市場の声は素直に聞くべきだと思うので、現在の市場から発せられているサインとは何かを考えてみたい。

 先ず日本株取引減少の影響についてだが、東証の総合取引参加者の決算概況によると株式の委託手数料の営業収益全体に占める割合は、平成22年3月期ベースで16%と10年前の35%からみると大きく減少している。つまり日本株取引減少の影響は、この10年で半分以下になっている。
 一方、増加したのが投資信託の販売だが、販売時の募集手数料と投資家が保有することで受け取れる手数料のダブルインカムになるので、収益面での貢献度は大きくなっている。 “ほふり”資料によると、4月以降8月までの投信増加は銘柄で117、金額で2兆9237億円増加しているので、こちらの方の環境は良さそうだ。

 行政面ではどうかというと、金融危機後のグローバルな規制強化の動きは一巡している。もともと日本では金融危機の原因となった証券化商品やCDSの取引が活発化する以前の段階だったが、G20で規制対応を求められている。格付機関規制やデリバティブの清算機関問題は、既に実行段階に入っているが、投資家には直接関係ないものの、業界としてのコスト負担増加は避けられなさそうだ。8月からのFX取引のレバレッジ規制もあり、2007年頃までの規制緩和路線から、最近はどちらかのいうと規制強化の流れなので、業界全体にはマイナス要因の様に思われる。6月に新成長戦略として打ち出された総合取引所構想も、業界としての議論の進展もなく実現性が見えていない。

 業界としての動きはどうなのかというと、関係者には申し訳ないが、協会で検討されているのは、業界活性化対応ではなく、どちらかと言えば規制強化協力路線(協会は自主規制機関として位置づけられているので、ある意味では当然だが)の様に思われる。9月から“証券市場の新たな発展に向けた懇談会”が開催されるようだが、検討事項が
・信頼向上のための課題の発見、問題お的及び施策の提案
・証券市場の利用者の意識の分析
とある。そろそろ投資家保護の視点を超えて、日本の市場が内外の投資家からどうしたら魅力的に見えるようになるかというような議論を期待したい。そうすることが300社以上ある証券会社(協会員)の支援になり、業界としての成長力も感じられるようになるかもしれない。

以上、市場から評価されない証券業界の置かれている環境について見てみたが、最後に証券会社自身のことについても触れておきたい。一般論として、市場から評価されない企業はディスクロージャーが悪い。その事なら証券会社は市場仲介者として熟知しているはずだが、自らのディスクロージャーに関してみると一部大手とネット証券を除いて、余り良い状況とは言い難い。不特定多数の投資家を相手にしているのであれば、自らの財務状況はどうで、販売戦略はこう、事業戦略はこう、といった程度の情報開示は行うべきだ。証券会社の透明性の向上で、投資家との信頼も増せば、日本市場の先行きも明るくなると信じていきたい。
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ジャンル : ビジネス

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