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2017/11
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そういえばCBがあった
金融サービスの融合と言おうが、新しいビジネスモデルと言おうが、証券の営業マンが銀行の定期預金を勧誘するという事に相当に違和感を覚える。個別の金融グループの事業戦略に物申すつもりはないが、それでも“貯蓄から投資”を促進するために頑張ってきた業界のあり方を思うと、何か割り切れない思いの方が強い。確かに日本経済に対する不透明感は、投資家の間に強いかも知れない。それでも、何か安全性の高いものに投資したいという投資家ニーズに応えて、金融商品を販売していくのが証券会社だったが、何も貯蓄を薦めることはない。国債もあれば社債もあり、J-REITも国内市場には整備されている。そしてCB(Convertible Bond=転換社債)がある。

 CBとは新株予約付社債のことで、2002年までは旧商法で転換社債と呼ばれていたが、今流に言えば社債にその会社の株式に転換できるコールオプションがついたものだ。投資元本は、社債の期限が来れば投資家に変換されるが、途中株式に転換することも出来るのでこの名称になった。現在は、コールオプション(新株予約権)が分離できるもの(旧来のワラント債=これも現在の新株予約権付社債)と区別するために転換社債型新株予約権付社債とも言う。本稿では、略称のCBを使うが、このCBは上場商品でもあり、既発行のCBは東証において売買することも出来る。

CBは証券の営業現場における嘗ての花形商品であった。発行会社の約束とはいえ元本が確保され、株価上昇のメリットもあり、そして途中の売買もし易い。バブル期には当時の時価発行を凌ぐ年間8兆円近い発行があり、1990年代半ばには発行残高が20兆円を超える時もあった。しかし、1990年台後半から急速に発行額が減少、2007年3月末時点でCBの発行残高は1兆5405億円117銘柄、その後も減少が止まらず、直近の8月末では残高1兆2136億円46銘柄まで市場が縮小している。

 このCB市場の極端な縮小の理由は、主に発行者サイドにありそうだ。学術的な探究は識者に譲るとして、市場関係者としての実感から言えば次の様なことが言える。

○CBは今でもリスクをある程度軽減する有効な投資商品である。
●但し、ここ10年来はコールオプションの価値=CBの転換権の価値がオプションバリューとして発行条件にも会計処理にも認識されるようになって、一昔前よりは投資家にとっても有利さは減少し、発行者の経理上の発行コストは上がっている。つまり、発行時株価に上乗せするプレミアム率が大きくなり、かつ発行者側もオプションバリュー分費用認識しなければならない。
●CBは東証に上場するため、その上場要件として個人投資家に相当数販売し投資家数を確保しなければならない。かつ、格付け取得も必要となる。つまり、販売サイドとしては、CBはある程度個人投資家に販売する努力が必要で、発行会社は格付取得作業が必要になる。なお、CBの発行の為にはBBB-以上の格付取得が必要になる。
○発行会社が引受会社に払う手数料は、CBが2%前後、時価発行増資が4%以上の事が多い。
○希薄化による株価下落インパクトは、時価発行増資よりCBの方が小さいはずだ。(CBの設計次第で下落インパクトを抑える工夫は可能)

以上から、CBは昔ほど発行会社にとっても引受業者にとっても旨味のあるものではなくなっているが、それでも株主や市場に配慮した発行が可能な金融商品と言える。今一度、CBの優位性を見直して欲しいものだ。 
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