*All archives* |  *Admin*

2017/08
<<  1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31  >>
取引時間延長問題から見える取引所のガバナンス
一昔前、コーポレート・ガバナンスという議論を上場会社と始めた時、会社は誰のものかという単純なとこから敢えて行ったのは、ステークホルダーの中で株主(正確にいうなら少数株主=投資家)との関係を見直そうという目的があった。会社は株主のものではないと言った政治家が少し懐かしいが、当時は金融機関を中心とした上場会社間の株式持合構造が縮小するという認識がつよく、海外投資家や個人を新しい株主として意識してのコーポレート・ガバナンスであった。
 翻って取引所のガバナンスはどうかというと、東証も大証も株式会社ながら少しガバナンスの趣きが違うようにも思う。東証の場合はまだ上場してないので、株主=取引所の取引参加者つまり証券会社等(取引所にとっての主要取引先)だが、例へ大証の様に上場したとしても一般企業のように株主を意識したガバナンスとは異なる部分が残らざる得ない。取引所が誰のものかと言えば、それは相当部分については取引参加者のものだという事だろう。(取引所の直接の取引参加者は証券会社、間接の参加者は投資家)

 日本の取引所機能も国際標準に合わせて昨年初から随分強化されている。株式の完全ペーパレス化、取引の超高速化対応、そして取引時間延長への取組み。この取引時間延長について、東証は4つの論点を示して広く意見を集めたが、取引参加者間で意見が分かれているようだ。東証の斉藤社長の9月24日に行われた記者会見では、この問題に関して次の様にコメントしている。(下記のネット証券調査は、カブドットコム証券による自社顧客13000名回答のもの参照)

○昼休みの問題が最も関心が高く、現物の夜間取引・デリバティブのイブニングセッション延長・立会開始時間の前倒しはそれほど関心が高くない。
○ネット証券の調査では8割以上の投資家(ネット証券利用者)が賛成した昼休みの撤廃又は短縮について、昼休みの撤廃は逆に7割近くが反対している。反対の理由としては、
・前引け、後場寄りの2回の板寄せがなくなれば、売買成立の機会が減るのではないか
・機関投資家の昼休み時間中に行う取引所外でのバスケット取引がなくなるのではないか
○ネット証券の調査では半数超の投資家が賛成した現物市場における夜間取引の導入については、証券会社サイドの反対意見として、夜間取引でそれほど流動性が増すとは予想されず対応コストに見合わないというもの。
○ネット証券の調査では3分の2近い投資家が賛成したデリバティブ市場のイブニングセッション延長については、積極的な意見は殆どないが、大証の日経平均先物の取引時間延長に合わせるべきという意見やNYSE Liffeとの建玉移管スキーム開始後の状況を見定めるべきという意見。
○ネット証券の調査では半数超の投資家が反対した取引開始時間の前倒しについては、同様にメリットが見えないという意見がほとんど。

そもそも取引時間を何らかの形で延長しようとするのは、何の目的だったのだろうか。

単に欧米の取引所に合わせようということではないように思うが、何とかして取引量を少しでも増加させたいという直接の取引参加者である証券会社サイドの必死の思いが伝わってこない。今月21日から、それまで23時までだった夜間取引時間を、翌日午前4時まで延長した東京工業品取引所では、FX取引を行っていた個人投資家からのネット取引が増加し始めているという。同取引所の直接の取引参加者である商品先物業者からはコスト増を理由に反対されていたというが、取引量低迷への危機感から取引所が踏み切った。
取引所のガバナンスの重心は、直接の取引参加者である証券会社にあるが、自らの顧客でもある投資家増加策や取引増加策をどう考えるか、取引所と証券会社が試されている様にも思う。
 

スポンサーサイト

テーマ : 証券・金融関連業務
ジャンル : ビジネス

Secret
(非公開コメント受付中)

最新記事
カテゴリ
最新コメント
プロフィール

ポーラスター

Author:ポーラスター
2009年1月スタート

最新トラックバック
月別アーカイブ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

リンク
RSSリンクの表示
参考文献
QRコード
QRコード