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2017/06
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格付機関規制、実質的に始まる
 市場である限り、必ず情報の非対称性はある。しかし、市場での取引を拡大しようと思えば、その情報の非対称性を可能な限り埋めなければならない。つまり分かりにくい市場では新たに取引に参加しようという意欲が削がれるが、為替相場の様に分かり易ければ個人での取引も増加する。その分かり易さ=情報の非対称性を埋める機能を、格付けは持つ。それが、株式においてアナリストが提示する投資判断基準であっても、債券に対する格付けであっても、格付けというものに市場参加者が携わる局面は結構多い。まして市場の仲介機能を果たすブローカー(証券会社や金融機関)にとっては、金融商品販売上の重要なツールとなっている。また、最近は欧州のソブリンリスクが注目され、格付機関による国やその関連機関が発行する債券への格下げが、為替や株式市場にまで影響を及ぼしている。

 しかし格付機関とは一体何なのだろうか。このことは、今回の金融危機でもその主因となったCDO (Collateralized Debt Obligation=証券化商品のことで、特に今回の危機では、多くのCDSを集約化したシンセティックCDO)で問題になったが、2001年8月にエンロンが破綻し、格下げの遅さが指摘された時も、また問題になっていた。その問題を簡単に言い切ってしまえば、投資判断として定着している格付けを行うのは民間企業で、誰が監視している訳でもないが、グローバルに市場に影響力を持っていること。そして、信用リスクを分析して格付けをつけるアナリストたちのコストは、多くの場合、格付けされている方が支払っていること。つまり、格付機関というビジネスモデルが、今の金融・資本市場に合わなくなってきているが、既に投資基準として格付けが重要な役割を果たしており抜本的なモデルの組み直しが難しいので、各国で監視していきましょうということになる。

 その格付機関は、昨年度の金商法改正(本年4月施行)で“信用格付業者”として定義され、証券会社等ブローカーが一般的に広く販売する為には、実質的に、登録した信用格付業者の格付けを用いることになる。金商法の参入規制は、届出<登録<認可とその基準が厳しくなるが、登録には登録要件があり、定期的な報告徴収や立入検査・行政処分も行われる。その信用格付業者に、下記の5社が10月1日登録を行った。
•株式会社日本格付研究所
•ムーディーズ・ジャパン株式会社
•ムーディーズSFジャパン株式会社
•スタンダード&プアーズ・レーティング・ジャパン株式会社
•株式会社格付投資情報センター
主要な格付機関のうち、フィッチは年内に日本法人の体制を整えて登録するようだ。

実質的に始まった日本の格付機関規制に対して、登録を行った信用格付業者としてどう対応しているかは、スタンダード&プアーズが10月1日に公表しているものが詳細で、かつ分かり易いので、その体制整備義務に応じている部分を、掻い摘んで紹介する。
○格付アクションの公表義務
格付方法など一連の格付に関する情報を公表する義務に対して、18項目に対してウェブサイトで公表していく。
○分析過程で利用した情報やデータの品質の確保
 格付の付与の為に用いられる情報に対して、発行者に追加的質問を求めることがある。
○資産証券商品における情報公開協力のお願い
 資産証券化商品の妥当性を評価する為に必要な情報やデータを公表することを、発行者に働きかける。またその働きかけた結果を自ら(S&P)が公表する。
○格付アナリストの配置転換
 同じ発行者の格付けを5年間担当した主格付担当アナリストは、その後2年間は同じ発行体の格付分析チームからは外れる。

 なお、格付機関規制が先行している米国では、この7月に成立した金融規制改革法で更なる格付機関規制強化が目論まれており、
・SEC内に格付機関を監督する信用格付局(Office of Credit Ratings)を新設し、認定された格付機関を検査
・認定された格付機関に対し、格付手法や過去の格付の記録等の開示を義務化
・SECに不適切な格付機関の登録抹消権限を付与
・投資家への責任の明確化(一部の損害賠償対象化へ)
などが挙げられているが、詳細は今後決定される。

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