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2017/06
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噛み合わぬ税制改正要望
 株式や株式投信(説明は後述)などの譲渡益課税や配当に対する軽減措置(税率10%)について、日本の株式市場の低迷や景気悪化懸念を理由に、再来年以降も延長を要望するのは、証券界の一致した考え方だ。筆者も業界の人間として、この要望に異論を挟むつもりはないし、出来れば、株式投資は個人がリスクを負って、市場にリスクマネーが供給し、企業の成長に役立つのだから、ある程度までは無税でも良いのではないかとさえ思う。しかし、業界の考える証券税制の在り方(軽減措置延長の目的等)と、世間の考え方の間に差があり、方向性は同じ(例えば、金融所得一体課税を進めるというような)はずなのだが、軽減措置延長問題では議論が噛み合っていない。

つまり、何の為に軽減措置が必要なのか、業界以外からは理解されていない。
そのことは、政府税調の専門委員会の議論でも顕わになっており、次の様な論点が示されている。

【制度の現状】
 先ず、この制度は株式市場の低迷対策として一時的な措置で、平成23年12月末で終了することが原則となっている。元々は国民の金融資産形成の為に、勤労所得とは別にした制度として金融所得一体課税を進めるのが政府の基本方針となっており、その税率は20%だ。その中で、株式投資に関する部分だけ10%というのは、預金や債券など他の金融商品と整合性が取れていない。また、平成21年から金融所得一体課税を進めるための損益通算が認められ、譲渡損益と配当金、更に債券の利息等と順次拡大している。また、次の様な現行の軽減措置上の問題点も指摘されている。
 軽減措置は株式と株式投信が対象だが、株式投信は約款に株式への投資が唱ってあれば株式投信扱いになり、実際99%が公社債で運用されていても10%の軽減措置になる。一方、同様の投資を行う公社債投信や公社債そのものへの課税は利子所得として20%の源泉分離になる。殆ど同じ投資対象なのに、課税が異なるのはおかしい。

【勤労性所得との比較等】
 勤労所得は段階的な税率での総合課税となっているが、10%最低限の適用を受けるのは夫婦子二人世帯で270万~325万の所得階層であり、それに比べて軽減措置の10%は低いし、利子所得の20%と比べてもアンバランス。

【これまでの取組み】
 結局、これまでの取組みで恩恵を大きく受けたのは高額所得者や富裕層ではないかとの指摘。例えば投信の個人保有額は増加したが、勤労者世帯ベースの1世帯当たり株式・株式投信の平均保有額でみれば、年間収入が1500万円以上の324万円に対し、500万~600万円の層では34万円にすぎない。また所得税負担率(平成20年分)でみると、1億円までの収入層の28.3%をピークにそれ以上の収入層は低下しているが、その主な原因は株式譲渡益分の軽減措置の影響とされている。

【日本版ISAと10%軽減税率の関係】
 そもそも軽減措置を撤廃し、他の金融所得と合わせて20%に戻すことは日本版ISA(少額投資に対する非課税措置)とバーターだったはずという主張(財務省)。
※これに対して筆者は異論がある。現行の日本版ISAは平成24年1月から始まることが予定されているが、当初設計の10年間毎年口座開設が現制度では3年に短縮されて、また一旦売却したものの非課税口座の再利用が出来ない(英国制度は再利用可)。投資の非課税措置によって国民の資産形成をしていくには、現制度は試行的すぎる。

【諸外国との比較】
 譲渡益課税を比較しても、日本の20%(平成24年から戻る予定の本則)は低い方であるとの指摘。
※これに関しても多少の異論がある。英国は年約135万円分の譲渡益は非課税だし、別途総額で1300万円以上(年間投資額はその10分の1)投資して資産形成に役立てることが可能なISA(個人貯蓄口座)制度があるし、フランスもPEA(株式貯蓄計画)で夫婦合計して約3000円の投資が非課税となっている。
 つまり、日本には投資を通じて個人か資産を形成するのを支援するような制度がない。現行の日本版ISAは、あくまでも投資の非課税措置で、投資による個人資産形成を支援するものではない。

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