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2017/08
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上期証券決算から見える個人投資家動向=ネット証券編
 今でこそ証券会社は“株屋”と呼ばれなくなったが、それでも株式のプローカー的イメージが強い。但し株式売買からの収益は、全体の4分の1程度にまで低下し、投信の募集や管理に関する手数料の方が多くなっているが、その中で個人投資家の日本株売買の重心は、完全にネット証券に移っている。その直近の概況を、ネット証券大手5社(SBI、楽天、松井、マネックス、カブドットコム)の決算説明資料から見てみる。

 先ず個人投資家の上期の日本株売買は、前期比(昨年度下期)13%減少している。一日当たりの売買代金も、4月~6月は5387億円更に7月~9月は3割減少して3804億円となっている。上半期の通算では、個人投資家は約58兆円の日本株を売買しているが、その内の約44兆円76%がネット証券大手5社で占める(松井の推計では、このうち約25兆円分43%がデイトレーダー)。信用取引でのネット証券大手5社分シェアは更に上昇して83%に達する。またストックベースでも個人の日本株保有額62兆円のうち、15.5%9.5兆円分はネット5社で保有されていて、ネット5社への集中は続いている。しかし、個人の日本株売買のネット5社への集中は、そろそろ限界かもしれない。それは、次の様な理由からだ。

・個人投資家の日本株離れが進んでいて、対面の証券では個人の株式取引の3~4割が海外市場への取次ぎという証券会社も増えてきている。しかし、海外市場への売買取次ぎは、別途インフラが必要になり、多くは各海外市場のメインプレーヤーの機能を借りる必要がある。コスト制御が命題のネット証券大手にとって、このインフラ整備が進んでいない。
・今までネット大手への個人株式資産の移動は、既存大手証券から流出する部分が多かった。これに対して、大和などが取引手数料の値下げ競争を仕掛け、またFX取引やCFD取引などの店頭デリバティブ機能をデイトレーダー(アクティブトレーダー)ターケットで提供し始めた。
・日本株の株式保有者数は、証券保管振替機構の口座データからその実数が1647万人(10月末)と見られるが、ネット証券大手5社での口座総数は累積で595万口座になっている。これは、ネット5社の保有ベースシェア15.5%から逆算して投資家数255万人が、5社内で既に2.3口座を開設している計算となり、今後大手5社間の口座獲得競争(実際は5社間の顧客資産移動)が激しくなる可能性がある。

 日本株の売買高減少は全体的な流れだが、その中にあって個人投資家の売買比率も4半期ベースで見ると、2009年4月~6月の24%をピークにほゞ一貫して減少しており、本年6月~9月分は16%24兆円となっている。このうちの61%14兆円分が信用取引によるもので、信用取引の比率はこの間5%上昇している。なお、信用取引の損益率だが、9月末日経平均9369円の時点で、買残高に対して-19.3%、新興市場分は-32.1%となって個人の信用取引顧客のダメージが大きいことが分かる。

 個人投資家の株式取引がネット証券に集まったものの、その限界が見える日本株からビジネスモデルをどう変えていくかがネット証券の戦略上の課題になっている。品揃えを増加させたり、投資家教育を通じて増加を狙う投信販売も、日本株取引の縮小をカバーするような主力サービスになるかというと、少し無理があるように思われる。というのは、ネット証券のビジネスモデルの基本である“顧客が選ぶ”という風に、日本の投信供給は未だ対応出来ていない。(目論見書の簡易・容易化やETF改革は行われているが、説明を必要とする投信が多いし、その情報が整理されていない。)やはり助演格はFX取引・CFD取引・先物、オプション取引などのデリバティブ取引に頼るしかないようだ。ネット大手5社のFX口座数は50万口座強(楽天はFX口座の公表なし、他4社分40万口座から推計)あるが、これはFX取引口座数1位の外為どっとコムと同数になる。ネット証券顧客の1割程度だが、まだまだ延びる余地は大きそうだ。
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