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2017/07
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取引所と投資家の対話=その2
 前回に引き続き、ここ1年余りで実施された東証のコーポレート・ガバナンス強化の為の上場制度変更に関して、寄せられた投資家(主に海外投資家)の意見から、東証の施策以外に対する主なものを取り上げてみる。これらは、東証に対する要望というより、日本の上場会社全体に対する海外投資家の要望と見るべきだろう。(意見等は要約)

【コーポレート・ガバナンス全般について】
・コーポレート・ガバナンスはその国の歴史や事業等の内容によって、唯一正しい形があるわけではない。
しかし、上場会社は海外からの投資家を惹きつける必要もあるのだから、一定水準以上のコーポレート・ガバナンスが要求される。世界各国に投資している投資家は、以下のことは基本的が原則として考える。
○独立取締役の設置
○Poll Voding (議決権行使の明確な開示)
○役員報酬の開示
○少数株主の保護

[解説と私見]
 海外投資家が基本原則と考える上記の4点は、この1年内に日本国内で何らかの対応策は取られている。しかし、海外投資家が主張したいのは、その対応策のコーポレート・ガバナンス強化への実効性が解り難いので、もっとルールを徹底し簡素化してもらえないかとの主張だ。
例えば、本年から上場企業は独立役員を導入しなければならないが、これは企業から独立性に高い社外取締役でも社外監査役でも良い事になっている。取締役と監査役は機能が違うという指摘に対して、監査役の機能権限を強化してしっかりチェックしていくので、上場会社の半数以上が採用していない社外取締役制度を採り入れなくても良いのではという経済界の要望がある。つまり上場会社には、社外取締役が過半数を占める委員会設置会社、社外取締役のいる監査役会設置会社、社外取締役のいない監査役会設置会社の3パターンがあることになる。これに対して、海外投資家は独立性の高い社外取締役=独立取締役を共通項として置いて欲しいと言っている。
次のPoll Vodingについては、議決権行使の可否を委任状ベースで判断し、その結果しか公表しない上場企業が多かったが、開示省令の改正で、この6月総会分から臨時報告書での公表することが義務づけられた。ただし、総会当日の集計が出来なければ、その理由を書けば良い。本年6月総会の議決権行使率は76%との集計もあるが、未だ同日の集計結果を加算しない企業も多いし、インター―ネットでの投票が可能な企業も4割程度に留まる。議決権を投票しやすいようインターネット対応し、その投票結果も公表する取組みは、多少の費用が掛かっても実行すべきだ。
役員報酬の開示は、1億円以上の報酬(総報酬)が有る場合に限り始まったが、金額やガバナンス強化の効果として色々意見が分かれるようだ。しかし、取締役の責任賠償額に定款で上限を設けている会社は、金額の大小に係らず開示すべきではないだろうか。

【子会社上場いついて】
・子会社上場の全面禁止には反対であるが、子会社上場の前提として少数株主の利益が保護されることが必要である。

[解説と私見]
 IFRSが適用されれば、安易な子会社上場は控えられるかもしれない。子会社・関連会社の株式も時価(公正価値)評価されるからで、売却するか保有を続けるか明確化を求められる。言葉は悪いが、ちょっと子会社を上場して利益を出し、上場子会社の株価が低迷したら、買い戻して上場廃止にするのでは、というような投資家の懸念は少なくなる。しかし、親会社の戦略変更で大きく企業価値が変わることに変わりない。海外投資家から見て、上場企業の子会社上場は異質かも知れないが、現実には相当数上場されているし、今後とも上場される可能性があるので、いっそ市場部を分けて、東証1部・2部に対して子会社上場部としてはどうかというのが筆者の私見である。

 いずれも本質的な問題は、法制審議会で議論され会社法の改正となるが、コーポレート・ガバナンスの強化の為に上場(公開)会社法などない方が良いと思うのは、筆者だけだろうか。
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